ふと犬の便を見たら赤い血がついていた!こんな時どうしますか?
実は、血便には2種類あり、便に鮮やかな赤い血が混ざっている場合と、塊のような黒い便が出てくる場合があります。どちらも犬の体の不調を表すサインではありますが、実は便に着く血の色や血の付き方などにより、緊急度は変わってくるのです。ここでは犬が血便になった時、飼い主さんが取るべき対処方法を紹介します。
血便は何が原因?赤い血便と黒い血便の違い
血便は、胃や腸などの消化管。胃や腸などの消化管も、皮膚と同じように消化管の粘膜の中には血管が走っています。皮膚に傷がついて血が出るのと同じで、消化管の粘膜に何らかのダメージがあった場合に血管が傷つき出血し、便に血が付着するのです。
また、赤い血便と黒い血便は、消化管の出血部分による違いがあります。
赤い便
大腸など肛門に近い場所で出血した場合、鮮やかな赤い血が付いた便が出ます。
黒い便(黒色便)
大腸よりも上部の胃や十二指腸などで出血があった場合、赤黒色や真っ黒い色の便が出ます。
腸がダメージを受ける原因は?
腸の粘膜は、どのような原因でダメージを受けるのでしょうか?腸にダメージを与える主な原因は以下の5つが考えられます。
異物飲み込みによる腸の炎症
石や針、おもちゃなどの異物を飲み込むことで、粘膜を傷つけ炎症が起こり出血することがあります。また、ひも状の異物も危険です。飲み込んだ場合に腸がたぐり寄せられ炎症を起こし、出血を起こす場合があります。
感染による炎症
ウイルスや細菌、寄生虫などで腸の粘膜が炎症を起こし、ダメージを受けた場合も血便が出ます。
免疫反応による炎症
アレルギーや炎症性腸疾患などのように、自分の体の中にある免疫システムが、なんらかの原因により、自分の腸まで攻撃する場合でも、血便になることがあります。
悪性腫瘍、ポリープ
腫瘍やポリープなどは正常な粘膜に比べて傷つきやすいため、便が通過すると簡単に出血します。
※犬の腸の悪性腫瘍(がん)はかなり多く、ミニチュアダックスなど一部の犬種では大腸の炎症性ポリープが多いと言われています
肛門嚢(こうもんのう)の異常
正確には腸ではなく、肛門嚢の異常による出血なので血便ではありませんが、肛門の横から出血するため便のまわりに血が付きます。排便時の痛み・便の表面のみにつく鮮血・お尻を気にするというのが肛門嚢の異常による血便の特徴です。
血便になった時の対処方法
血便が出ているということは、消化管のどこかが出血しているということです。血便は明らかに体の異常を示すサインですので、できるだけ早めにかかりつけの動物病院に連れて行ってあげましょう。
血便以外の体調も観察しましょう
血便をしたあとの犬の様子を観察しましょう。以下のような体調不良が見られる場合には、あわせて獣医さんへ伝えるようにしてください。
・犬の元気がなく、ぐったりしている
・嘔吐をした
・食欲がない
すぐに病院へ!血便の中でも緊急度が高いケース
子犬の血便
3カ月齢くらいまでの子犬に多いのは、パルボウィルスという非常に怖いウィルスによる血便です。この場合は一気に悪化するケースが多いので、緊急性が非常に高い病気です。パルボウイルスの他にも、色々なウイルスや寄生虫が原因で血便を起こすこともありますが、いずれにせよ子犬は重症になるケースが多いので、血便をしていたらスグに受診するようにしましょう。
高齢犬の黒色便・血便
重大な病気が考えられるため、早めに病院へ行った方がいい症状です。高齢の子に黒色便が出た場合、胃腸のがんの可能性を疑うこともあります。
何か変なものを食べた場合
犬の周囲に食べられるものはないはずなのに、なぜかモグモグしていることってありますよね。このように、何かを食べてしまった後に血便が出た場合は、すぐに病院へ連れていくようにしましょう。中毒性物質なら食べて数時間から半日、異物であれば食べて半日から3日くらいが症状の出やすい目安になります。
犬の血便には、緊急性が高いものと、それほど高くないものがあると紹介しましたが、犬の体の中で何かしら不調が起こっていることは間違いありません。便の様子と犬の体調を観察し、早めにかかりつけの獣医さんへ相談するようにしましょう。
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