高温多湿な日本の夏。食べ物も腐りやすくなり、日々の食品管理にはたいへん気を遣う季節です。それは人間だけでなく、犬のごはんに関しても同様です。
しかし中には、人間と比べて、決して軽んじているわけではないのだけれど、どうしても犬のごはんは人間の食事ほど気を遣っていない、という飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
今回は、暑い時期の犬のごはんの扱い方について考えてみましょう。
夏場はフードの保管、食べ残しに注意
手作りを機会が多い人間の食事と違って、犬のごはんは市販のドッグフードを利用することが一般的であり、それゆえ品質も一定の水準に保たれている、というイメージがあります。
たしかに市販のドッグフード、なかでもドライフードの場合は保存期間も長く、その点はとても便利なのですが、だからといって、その管理がぞんざいであってもいい、ということにはなりません。とくに、ものが腐敗しやすい高温多湿の夏は、より注意が必要です。
犬に与えているドッグフードがドライタイプの場合でも、袋を一度開けてしまうと、その後しっかり密封したつもりでも湿度によってカビがはえたり、腐敗が進行する可能性が高まります。
また、ドライタイプでも10%程度の水分量があります。気温の寒暖差が激しい環境に置いておくと、湿気でパッケージ内に水分が溜まります。そのことで中身が変質してしまい、食中毒などの原因にもなりかねません。
夏場は、なるべく湿気が入り込まない、密封性の高いパッケージのフードを選び、食べきれるサイズの小袋に分包されたタイプのものを購入するようにしましょう。1回で食べきれる量を与えることが理想ですが、食べ残しがあった場合は放置せずに、すみやかに密閉できる容器に移し、必ず冷蔵庫で保存するようにします。ペットフードを皿に入れたまま、一日中ほったらかしにするようなことは、絶対に避けましょう。
保存したフードの匂いに変化がみられたり、質感がいつもと違っている場合には、与えないようにしましょう。これはフードに限らず、おやつでも同様です。
ウェットタイプや手作りフードは、より注意深く
ウェットタイプのフードでは、より厳格な利用が求められます。食べ残しは必ず廃棄し、再利用することは厳禁です。高温多湿の環境下では、少しの時間でも菌が発生している危険性があり、冷蔵庫へいったん戻しても、手遅れのケースが多いのです。水分の多いエサは、開封してから30分以内に食べさせます。食器もすぐに洗いましょう。
愛犬に、愛情を込めた手作りのごはんを食べさせている、という飼い主さんもいらっしゃるでしょう。手作りフードはどうしても生の素材を扱うことが多くなるため、その鮮度や品質の管理はとても大切です。とくに夏場は、生肉や生魚を与えることは避け、加熱処理をしたものを使いましょう。
また、生肉などを調理した包丁やまな板から菌がうつる可能性もあります。愛犬のごはん作りでは、一食ごとに栄養バランスを考えることはもちろん、市販品以上に徹底した衛生管理を心がけましょう。
高温多湿、空気、直射日光を避けよう
人間用か犬用かを問わず、一般的に食品は高温多湿だけでなく、光や空気に触れることで劣化が進みます。とくに、フードに含まれている油分は、高温や直射日光、空気に触れることによって酸化し、体に良くない影響を与えるとされるトランス脂肪酸に変化してしまいます。
そのためドッグフードはできれば、家の外で保管することは避けた方がいいでしょう。夏場でも室内であればさほど神経質にならなくとも大丈夫ですが、それでも窓際など直射日光の当たる場所は避け、家の中でも暗く、涼しい場所を選びましょう。常温での保管に不安がある場合は、冷蔵庫での保管をおすすめします。
ホームセンターの安売りなどで、一度に大量のドッグフードを購入することもあるかと思います。確かに経済的なのですが、保存管理を適切にする自信が持てないのであれば、やはり大量購入はするべきではありません。フードは、1カ月程度で使い切れる量を基準にストックしましょう。
災害時に備えた保存用のフードも同様です。消費期限をしっかりと把握しておき、期限が来る前に順次、普段の食事にまわします。使い切った保存用フードはその都度、新しいものと入れ替えるようにしましょう。
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