愛犬がガツガツとごはんに食らいつき、あっという間に平らげている様子を見ていると、微笑ましく感じるとともに、「誰も盗ったりしないんだから、もっとゆっくり味わって食べればいいのに」なんて思いますよね。
ただ、早食いが原因で吐いてしまったり、恐ろしい病気を引き起こしたりもするので、飼い主さんは早食いをさせないような工夫が必要です。
なぜ犬は早食いをするの?
一般的に、野生の動物は早食いをする傾向があります。祖先がオオカミである犬も、しとめた獲物を他者に横取りされないよう、急いで食べます。また、犬のとがった歯は、食べ物をすりつぶすのではなく、肉などを噛み、細かく切り刻むのに向いた形状となっており、咀嚼して味わう、といったことには不向きです。
本能的にも、体の構造的にも、犬の早食いは自然の摂理であると言えます。
早食いのリスクとデメリット
早食いは犬の本能といえる習性ではありますが、「本能だから問題ない。」とは言い切れません。実は早食いには色々な危険が潜んでいるのです。
早食いによる嘔吐
吐くこと自体がからだに負担に
食欲旺盛な犬はガツガツと早食いをし、食べた後にすぐ吐くことがあります。「早食いが原因なら仕方ない。」と思われるかもしれないのですが、早食いが原因だったとしても、吐く頻度が高い場合は注意しなければなりません。吐く行為自体によって、からだに負担がかかってしまうからです。
本来、体は口から肛門まで一方通行に流れるような作りになっています。嘔吐によって胃酸が逆流することで、食道や胃の粘膜があれてしまうのです。粘膜は臓器の一部なので、粘膜が荒れることで胃炎、食道炎、膵炎へと発展してしまう可能性もあるのです。※犬の膵炎の記事は、こちら。
早食いが原因で吐いたときの対処法
ガツガツ勢いよくごはんを食べて、早食いが原因でゲボッと吐いてしまった後、吐いたフードを再び愛犬が食べるようなら、一旦様子を見ていても大丈夫でしょう。吐いた後、フードをそのまま食べないで放置し、元気に遊びまわっているようであれば、少し時間がたってから、お湯などでやわらかくしたフードを少量あげて様子を見てあげて下さい。
もし、吐いた後にグッタリしていたり、何度も連続して嘔吐をするようであれば、それは早食いによる嘔吐ではなく、病気による可能性や、吐いたことにより具合が悪くなった可能性が考えられます。すぐに獣医さんに相談しましょう。
胃拡張・胃捻転の原因に・・・?
中・大型犬がなりやすい胃拡張・胃捻転に要注意!
中型犬や大型犬がなりやすいと言われている胃拡張・胃捻転。詳しい原因は明確になっていないものの、なんらかの原因で胃の中にガスが溜まることで胃が膨れ上がり、ねじれてしまう病気です。ガスは短時間の間にどんどんたまっていき、胃はパンパンに膨れます。膨らんだ胃が周囲の臓器や血管を圧迫し、すぐに手術をしなければ短時間で死に至る、とても恐ろしい病気なのです。
まだまだ未知数の部分が多い病気ではありますが、早食いがきっかけで引き起こされることもあると言われています。特に中型犬・大型犬の場合は、早食いをさせないように注意したほうがいいでしょう。詳しくは、うちの子おうちの医療事典「胃拡張胃捻転症候群」をご覧ください。
早食いをさせないための工夫
早食いをやめさせるためにはどうしたらいいのでしょうか? ここではいくつかの早食い防止法をご紹介します。
フードを小分けにして与える
早食い防止グッズ「グリーンフィーダー」を使う
コングに入れて与える
フードに水を足す
多頭飼育の場合、フードを与える部屋をわける
早食いは犬の本能的な習性ですが、意外と犬にとって負担になることが多いんです。犬が自分でコントロールできない分、飼い主さんがしっかりコントロールしてあげる必要がありそうですね!
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<早食いに関連する病気>
胃拡張胃捻転症候群
膵炎
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