愛犬が足を引きずったり、歩き方に違和感がある時、それは明らかに体の異常を示すサインです。どこかに痛みがあったり、麻痺などで動かせなくなったりして、歩き方に異変が出ていることが考えられます。中には緊急で治療が必要なケースもあるので、様子を見ていて少しでも気にかかったら早めに病院に連れていってあげましょう。
足を引きずって歩いている時はすぐに病院へ
愛犬が後ろ足をダラーンと引きずる様子がみられたときは、重い病気にかかっているかもしれません。このような状態を放置すると、今後自力で歩けなくなる可能性も考えられますので、すぐに病院に連れて行ってあげて下さい。
考えられる病気
椎間板ヘルニア
背骨と背骨の間にある椎間板と呼ばれる部分が飛び出し、神経を圧迫する病気です。ダックスフンドやコーギーのように、胴の長い犬種に多いと思われている方も多いかもしれませんが、トイプードルやビーグル、ペキニーズなどのように、幅広い犬種で見られます。背骨は小さな骨が集まって出来ており、その骨の間でクッションの役割を果たしているのが椎間板です。椎間板ヘルニアが悪化すると、神経の圧迫により腰の痛みや麻痺などの症状が出て、自力で立ち上がることができなくなることもあります。
椎間板ヘルニアは早期発見・早期治療が大切です。もし少しでも違和感を感じたら、早めに病院へ連れて行ってあげてください。椎間板ヘルニアについて、詳しくは『愛犬のために知っておきたい椎間板ヘルニア【獣医師が解説】』の記事も参考にしてください。
脊髄梗塞
脊髄(背骨付近に密集している神経の束)は酸欠に非常に弱い組織です。脊髄梗塞は脊髄を流れる血管に血栓などが詰まって酸素が供給されなくなり、短時間のうちに細胞が壊死してしまう病気で、急に脱力して立ち上がれなくなるなどの症状が現れます。痛みを伴わないことも多いので、犬が元気そうに見えることもありますが、神経細胞が壊死しているので、すぐに病院へ連れていってあげましょう。
また、首の近くの血管が詰まってしまうと、呼吸などを司る延髄(脳の一部)にまで影響を及ぼして呼吸困難に陥る場合もあり、緊急処置が必要となります。
重症節無力症
筋肉は神経からの信号を受けて動きます。しかし、重症節無力症にかかると、神経からの信号を筋肉がキャッチできなくなります。そのため、うまく歩けなくなるだけでなく、胃に食べ物を送ることができなくなったり、声が出にくくなるなどの症状が見られます。また、筋肉を動かす力が弱くなるため、食べ物や吐いたもの等を、気管に吸い込んでしまっておこる肺炎(誤嚥性肺炎)を引き起こす危険性もあります。
手足をぴょこっとあげた歩き方は痛みのサインかも
愛犬が手足のどこかをぴょこっとあげて歩いている様子が見受けられたなら、それは足の痛みを感じているサインかもしれません。怪我や脱臼をしている可能性が考えられるので、できるだけ早めに動物病院に連れて行ってあげて下さい。
骨のけが
骨折
子犬(特に小型犬)の骨は非常にもろく、椅子やソファーから飛び降りるなどといったちょっとした衝撃でもすぐに折れてしまいます。歩き方がおかしくなる前に、どこかから飛び降りたり、フローリングで滑ったりしていませんでしたか?もし心当たりがある場合は、すぐに病院へ連れていってあげましょう。
骨折に関する記事
*『子犬の骨折が発生しやすい月齢は? 発生しやすい3大要因と予防策』
*『室内での骨折に要注意!あなたの愛犬は大丈夫?【獣医師が解説】』
も併せてご覧下さい。
膝蓋骨脱臼(パテラ)
膝のお皿が正常な場所から外れてしまう状態です。軽度なものまで含めると、非常に多くの小型犬が持っていると言われています。骨折と同じくちょっとした衝撃で骨が外れてしまった可能性がありますので、早めに病院へ連れていってあげてください。
しばしば脱臼していると、犬が自分で足を伸ばして治すこともあるため、「さっきまで変だったけど治った!」と思われる方もいるかもしれません。
しかし膝蓋骨脱臼は重症化すると手術に発展したり、元気に歩けなくなってしまいますので、歩き方が元通りになったとしても、きちんと病院へ連れていく必要があります。膝蓋骨脱臼について、詳しくは『小型犬に多い膝蓋骨脱臼とは?治療法と予防法【獣医師が解説】』もご覧ください。
ワンペディア関連記事☞『愛犬のおかしな座り方、お姉さん座りって大丈夫?【獣医師が解説】』
肉球の負傷
道にはガラスの破片や木の枝など、肉球を傷つけてしまうものがたくさんあります。また夏は気温が上がりアルファルトが熱くなるため、火傷をする危険性もあるでしょう。もしお散歩から帰ってきた後で歩き方がおかしかったら、肉球が傷ついているかもしれません。
また、爪の伸びすぎでも歩き方がおかしくなることがあります。巻き爪がひどくなって肉球に刺さってしまうこともあるのです。
かばっている足がわかれば、やさしく肉球を確認してあげて下さい。痛みがあると嫌がる場合もあるので、自宅で確認できないようなら、無理をせず動物病院でみてもらいましょう。
ワンペディア関連記事☞『可愛い肉球に隠された大きな役割【獣医師が解説】』
お外にもお部屋にも、犬が足を痛める原因はたくさん潜んでいます。愛犬に健康な生活を送ってもらうために、飼い主さんは日ごろから愛犬の体調を気にかけることはもちろん、暮らしの環境を整えてあげることも大切です。しっかり愛犬と向き合ってケアをしてあげてください。
★「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、
☞本記事に関連する病気の解説はこちらをご覧ください。
膝蓋骨脱臼
骨折
椎間板ヘルニア
☞例えば、下記のような切り口で、
再発しやすい
長期の治療が必要
初期は無症状が多い
命にかかわるリスクが高い
生涯かかる治療費が高額
高齢犬に多い
病気の進行が早い
緊急治療が必要
入院が必要になることが多い
かかりやすい病気
他の犬にうつる
人にうつる
予防できる
子犬に多い
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