犬の咳って聞いたことありますか?人間だと「ゴホゴホ」や「ケホケホ」という表現をよく使いますが、犬の場合は咳にも様々なものがあり「ケッケッ」、「カッカッ」、「ガーガー」など、病気の種類によっても異なります。犬の咳も人間と同じように体の不調を表すサイン。「単なる風邪かな?」という飼い主さんの独断は危険を招く場合があります。今回は、犬の咳で考えられる病気と、その危険性について紹介します。
犬の咳はどんな時に出るの?
では、犬が咳をするのはどんな時なのでしょうか?
外に出て冷たい空気を吸った時やリードを引っ張った時、吠えた後や興奮した時に、「カッカッ」という咳が出ることがあります。このように生理的に出る咳とは異なり、病気が原因で咳が出る場合もあります。考えられる病気には、気管虚脱、腫瘍、心臓病、感染症などがあります。病気が原因で咳をしているときは命の危険にかかわる場合もあるので、注意しなければなりません。
緊急度高!危険な犬の咳とは?
犬の咳には、緊急度が高くない生理的な咳から、緊急度の高い心臓病による咳まで、幅広い可能性があります。もし、咳の原因が緊急度の高い病気のサインだったら、夜間でも病院へ連れていかなければなりませんよね。そういった病気に早く気づくためにも、咳と一緒にみられる犬の症状をよく観察してみてください。
緊急処置が必要!夜間でも病院へ連れていくべき症状
運動もしていないのに、突如呼吸が荒くなる
口を開けて呼吸し続ける
グッタリしている
歯茎や舌の色が紫や白い
横になれない
このような症状が出ている場合は、呼吸困難に陥っている可能性があります。様子を見ているうちに呼吸ができなくなって死に至る場合もあるので、すぐに病院へ連絡しましょう。
もし、深夜などでかかりつけの病院があいていない場合は、夜間病院に電話をするとよいでしょう。焦る気持ちはわかりますが、絶対に自分で処置しようとしてはいけません。必ず専門家の指示に従って行動してください。
呼吸困難になる原因
咳や咳に似た症状が見られ、かつ呼吸困難に陥る原因としては色々なものがありますが、考えられる原因を一部ご紹介しましょう。
異物誤飲
おもちゃやクッションの綿などを飲み込んでしまい、喉や気管に詰まって、呼吸困難に陥っている可能性があります。詳しくは、『犬が異物誤飲をしたとき、どうしたらいいの?【獣医師が解説】』をご覧下さい。
誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)
食べ物や吐いたもの等を、気管に吸い込んでしまっておこる誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)などが考えられます。特に子犬や高齢犬は、フードや水が誤って気管に入ってしまうことがあるので、発症しやすいのです。ごはんを食べた後や吐いた後に咳をし始めたら注意しましょう。
心臓病
心臓病のサインとして、明け方の咳が増えるともいわれています。特に高齢の犬の咳の場合には注意して観察するようにしてください。
また、心臓病が進んで「肺水腫」になっている可能性があります。肺水腫とは、肺の中に液体がたまってうまく呼吸ができていない状態です。「ガハガハ」「ゴッゴッ」という咳を常にするようになり、少し動いただけでもかなり苦しそうな呼吸を繰り返します。そのため、口を開けたままの開口呼吸や、肺をできるだけ膨らませるためにおすわりのような格好をし、横になれないこともあります。
さらに症状が進むと口や鼻から白、もしくは少しピンク色をした泡のような液体を吐き出すことがあります。これは非常に危険な症状で、体がぎりぎりの状態になっているときにみられます。
詳しくは、「愛犬が心臓病だと診断されたら?症状や治療法、注意点など【獣医師が解説】」をご覧下さい。
子犬と老犬はできるだけ早めに病院へ!
犬の風邪のようなものにケンネルコフという感染症があります。特に子犬や老犬はケンネルコフから肺炎を起こして重症になることもあるため、できるだけ早めに病院へ連れて行きましょう。
関連記事☞「シニア犬の病気を早期発見するために!観察ポイントと健康チェック法を紹介」
病院に連れて行くときの注意点
呼吸が苦しそうな犬を抱くときはそのままの体勢を保ち、腕を体の下に入れてふわっと持ち上げ、できるだけ胸を抑えないような抱き方で病院へ連れていってください。興奮させないことも大切です。
また、呼吸困難に陥っている場合など、緊急性が高い場合には、あらかじめ病院に電話しておくことをオススメします。病院へ連れて行くまでの間に、病院側でも緊急対応の準備ができるからです。
犬が咳をしたら「風邪かな?」で終わらせず、様々な病気を疑う必要があります。原因によっては、咳をした時点で体が危険な状態にさらされていることもあるので、夜間に行ける病院をあらかじめ探しておくことは重要ですね。危険な病気から愛犬を守るためにも、日常の様子を注意深くみてあげてくださいね。
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例えば、下記のような切り口から、
【治療面】■ 再発しやすい ■ 長期の治療が必要 ■治療期間が短い ■ 緊急治療が必要 ■ 入院が必要になることが多い ■手術での治療が多い ■専門の病院へ紹介されることがある ■生涯つきあっていく可能性あり
【対象】■ 子犬に多い ■ 高齢犬に多い ■男の子に多い ■女の子に多い ■ 大型犬に多い ■小型犬に多い
【季節性】■春・秋にかかりやすい ■夏にかかりやすい
【うつりやすさ】 ■ 他の犬にうつる ■ 人にうつる ■猫にうつる
【命への影響度】 ■ 命にかかわるリスクが高い
【費用面】 ■ 生涯かかる治療費が高額 ■手術費用が高額
アイペット獣医師
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