りんごには犬の健康に悪影響を与える成分は含まれていないので、犬が食べても大丈夫です。ただし、与え方によっては喉に詰まらせたりアレルギーを引き起こしたりする危険性があるので、食べるときの注意点も含めてご紹介します。
りんごを与えるときの注意点は?
りんごの皮をウサギの耳のようにむくと可愛いですよね。ただし、犬に与える場合、ウサギの耳状にむいた皮の部分が喉にひっかかると、吐き出すことも飲み込むこともできなくなり、窒息死する危険があります。丸飲みして喉に詰まらせることもあるので、たとえ大型犬でもりんごを与える場合は小さくカットしてあげましょう。
また、飼い主が外出するときは、食べ残しのりんごは必ず片付けて出かけましょう。りんごに限らず、おやつを残したまま外出することは控えてください。室内で飼われている小型犬は誤飲しやすいので、りんごのかけらが床に落ちていないかよくチェックしましょう。
りんごの皮や種は食べられるの?
ポリフェノールやペクチンなどが含まれている皮も食べられるのですが、りんごの皮は消化しにくいので与えるときは細かく刻んであげましょう。
一般的にりんごの皮には農薬やニスなどが付着していることがあるので、与える前によく洗うか、皮をむいて与えた方が安心です。りんごの中に含まれるポリフェノールは酸化しやすく、金属イオンとも反応しやすいので、すりおろして与える場合は陶器やプラスチックの器に入れるのがおすすめです。
なお、りんごの種にはアミグダリンという毒性物質が含まれており、中毒をおこす可能性もあるので、必ず種は取り除いてあげてください。
りんごジュースやりんご酢も与えて大丈夫?
りんごジュースに含まれるカテキンは犬に害を与える成分ではないので、与えても大丈夫です。とはいえ、りんごジュースには多くの糖分が含まれているので、量に気をつけてカロリー過多にならないようにしましょう。ジュースであげる場合は市販のものでなく、家で作ってあげるのが望ましいですね。
また、りんご酢も犬が口にしても大丈夫ですが、犬へのメリットがほとんどないので、積極的に飲ませる必要はないでしょう。
りんごは食べさせ方に注意をすれば犬にとって害のある果物ではありません。ただ、ブタクサやヨモギ、シラカバ、スギなどにアトピーを持つ犬は交差性アレルギー反応がでることもあるので、控えた方がいいでしょう。また、りんごにはカリウムが豊富に含まれているので腎臓病の犬に食べさせると良い、と紹介している記事もありますが、りんご=病気改善にはなりません。あくまでもおやつのレベルとして考えておきましょう。
交差反応アレルゲンとは?
ある種の動物タンパク質に対してアレルギー反応を示す場合、種の近い動植物のタンパク質にもアレルギー反応を示すことを言います。たとえば、ブタクサのアトピーを持つ犬に対して交差性のあるアレルギーは表で示しているようにリンゴ、バナナ、メロン、トマトです。ブタクサのアトピーを持つ犬がリンゴを食べたからといって必ずしもアレルギー症状を起こすわけではないのですが、アレルゲンレベルをあげてしまうことになります。
サンダース ベテリナリークリニクスシリーズ Vol.2 No.1「犬と猫の最新・皮膚科学」 株式会社インターズー刊より引用
※この記事は犬にりんごを食べさせることを推奨しているものではありません。人間の体に良いからといって犬にも良いとは限りません。逆に悪影響を与えたり、必要な栄養の吸収を阻害したりすることもあります。犬の食事は、栄養バランスが良く摂れる総合栄養食としてのドッグフードがおすすめです。