犬が舌で自分の鼻を舐めているのを見たことはありませんか?たまにペロッとひと舐めする場合もあれば、しきりにペロペロ舐めていることもあるでしょう。また、飼い主の鼻や口のあたりをしきりに舐めることもありますね。なぜ犬は自分の鼻を舐めたり、飼い主の鼻を舐めたりするのでしょうか?「鼻を舐める」という行為に秘められた犬の気持ちと、鼻を舐めることから考えられる病気について解説します。

犬が鼻を舐める理由のひとつは生理現象

 

犬が自分の鼻を舐める理由としては、大きく分けて「生理現象」「感情表現」「病気のサイン」の3つが考えられます。「生理現象」としては以下のようなことです。

感覚を研ぎ澄ます

犬の鼻は、たいがい濡れていますよね。それは、ニオイの情報をいち早くキャッチするためなのです。乾燥しているところより湿ったところの方が、ニオイの分子が吸着しやすいから。さらに濡れた鼻は、空気がどちらから流れているのかを察知するのにも役立っています。

 

ただし、犬の鼻は24時間365日同じように濡れているとは限りません。人間にもその日、季節、時間によって体調が違うように、犬の鼻も濡れ具合には違いがあります。例えば、眠りから覚めたとき、つまり寝起きは鼻が乾いていることもめずらしくありません。寝ている間は意識的に嗅覚を研ぎ澄ます必要があまりないため、寝ている間は舐めることをしないからだと考えらえます。嗅覚を働かさなくてはならないときに鼻が乾いていれば、ペロッとひと舐めして鼻を湿らせ、匂いを嗅ぎ取ろうと意識を集中させるわけですね。

気持ちを落ち着かせる

人間も何か不安に感じたり、緊張したりしたときに、決まった仕草をする人がいますよね。実は犬が鼻を舐めるのも同じだと考えられています。不安や緊張があり、それがストレスとなっているとき、また好奇心が湧いて興奮しているときなどに、自分で鼻をペロペロ舐めては気持ちを落ち着かせようとしているのです。

早く食べたいサインの場合も

犬がご飯やおやつなど食べ物を前にしたときに、「早く食べたい!」という気持ちから、鼻をペロペロッと舐める場合が。食べ物のニオイに刺激されて、鼻を舐めたり、ヨダレを垂らしたりする犬もいます。

犬が飼い主の鼻を舐めるのは愛情表現

 

外出先から帰ってきたときに、「駆け寄ってきた愛犬に鼻や口をベロベロ舐められた」、なんて経験はありませんか?また、仲のよい犬同士はお互いの鼻を舐め合うことも。
そんな場合の「犬が鼻を舐める」という行為は、相手に対する愛情表現のひとつであると考えられています。大好きな愛犬でも、あまりに執拗に鼻や口を舐められると「ちょっと…」という人もいるでしょう。でも、その行為の裏にある気持ちを考えると、思わず微笑んでしまうのではないでしょうか。

病気が原因で鼻を舐めることも

 

もし、今まであまり鼻を舐めていなかった愛犬が、急に何度も鼻を舐めるようなら、何かしらの体調不良や病気がその陰に隠れているかもしれません。しきりに鼻を舐める場合には、下記のようなことも考えられます。

発熱、脱水がある

熱があったり、脱水状態になったりした場合に、鼻が乾燥して、それを解消しようとして何度も舐めることがあります。

鼻水が出ている

鼻水が多くなってダラダラ流れるようになると、しきりに舌で舐めるようになります。人間は鼻をかむことができますが、犬は自分で舐めて対処するのです。鼻水が多くなる原因としては、アレルギー、鼻炎、副鼻腔炎、歯周病の悪化などの病気が考えられます。あまり頻繁に鼻を舐めるようなら、獣医師の診察を受けましょう。

鼻の中に異物がある

鼻の中に草や花の種子、ペットフードなどが入ってしまうと、違和感を感じて鼻を舐めることがあります。犬は自分の鼻の中に指を入れて異物を取ることができないので、舐めることでなんとかしようとするのです。

歯に物が挟まっている

何か食べた後に、歯の間に食べ物が挟まって違和感があると、犬は鼻ペロペロと舐めることがあります。挟まった物を取り除きたいものの、どうにもできないもどかしさが感じられますね。

ムカムカと気持ちが悪い

胃から胃酸が上がってきて、ムカムカするようなときも、鼻をペロペロと舐めることがあります。もし、鼻をしきりに舐めていて食欲がないときは、胃腸不調かもしれません。早めに病院に連れて行きましょう。

 

 

犬が鼻を舐める理由はいくつもありますが、愛犬とのより良い信頼関係を築くためには、舐める理由を知っておくことが大切です。そして必要以上に鼻を舐める行為は、愛犬の健康を守るための重要なサインでもあるため見逃さないようにしましょう。

 

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アニーマどうぶつ病院 院長

村谷 親男

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