愛犬にたくさんの愛情を注いであげたいという想いから、ごはんを手作りする飼い主さんが増えています。買ってきたフードを与えるよりも、愛情をかけて作ったごはんの方が、体にもいいし愛犬も喜んでくれる!
…そう考える飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか?ただし、100%手作りごはんには落とし穴があるので注意しなければなりません。
ここでは、手作りごはんを取り入れる上での注意点と、正しいフードとの向き合い方について解説します。
手作りごはんで気をつけたいこと
犬と人では必要な栄養素とそのバランスがまるで違う
人間と同じ素材を使って愛犬のごはんを作る上で、最も気をつけなければならないのは、人と犬では必要な栄養素とそのバランスがまるで違うということです。人が雑食であるのに対し、犬は肉食寄りの雑食。愛犬の食事を全て手作りごはんだけで賄おうとするのであれば、犬が必要としている栄養素や栄養バランスをしっかり把握した上で食事を作ってあげる必要があります。
犬に必要な栄養素とそのバランスについて
犬のからだに必要な栄養素は主にタンパク質と脂質。その2つで足りないエネルギーを炭水化物で補っています。必要な栄養素の中には、体内で作り出すことができないものがあり、それらは食事からとらなくてはいけません。この必要な栄養素を正しい量とらせてあげないと、発育異常やホルモンバランスの異常が起こってしまうのです。
また、それぞれの栄養素をバランスよくとらないと、エネルギーが多すぎたり不足したりして、健康に過ごすことができません。必要な栄養素やバランスは年齢などによって違うため、これらを正確に把握するためには専門的な勉強が不可欠です。ペット栄養学という専門的な分野があるので、もし100%手作りごはんにこだわるのであれば、ぜひ勉強してみてください。「ペット栄養管理士」という資格を取ることもできます。
手作りごはんの難しさ
手作りごはんが難しいと言われる点はいくつもありますが、ここでは一部のハードルをご紹介しましょう。
食事に絶対に入れなければならない栄養素が人よりも多い
例えば、犬が必要としている栄養素の一つに「アミノ酸」があります。アミノ酸は身体のさまざまな機能にかかわるもので、身体の組織を作ったりホルモンや免疫をつかさどる大切な役割を果たしています。
このアミノ酸にも様々な種類がありますが、その中でも必ず食事から摂取しなければならないアミノ酸(必須アミノ酸)は犬の場合10種類もあるのです。自分の体内では作ることができないので、そのアミノ酸を含む食事をとらないと体調を崩してしまう恐れがあります。
栄養素は摂ればいいわけではない!多すぎても少なすぎてもダメ!
例えば必要な栄養素の一つ、カルシウムが不足すると、筋肉の硬直やけいれんが起こったり、食欲不振につながることがあります。そのため、手作りごはんにこだわる方は、足りないカルシウムを補給するために、サプリメントを併用することが多いです。しかし、カルシウムを過剰に摂取してしまうと、今度は下痢を引き起こしたり、心臓に負担がかかったりすることがあるので、正しい量に調整しなければなりません。
このような調整を数え切れないほど存在する栄養素、一つ一つに対してしなければならないのです。
こだわればこだわるほど、ボリュームが多くなる傾向に
手作りごはんで全ての栄養素を1回の食事でバランスよく取ろうとすると、どうしてもボリュームが多くなりがちです。食欲旺盛な子であれば問題ないかもしれませんが、もともと食が細い子にはオススメできません。食べきれる量でなければ、どんなに理想のごはんを作っても身体に吸収される量は少なくなってしまうので意味がありませんよね。
100%手作りごはんにこだわる飼い主さんは、愛犬のために時間も手間も惜しまない、そんな方達が多いと思います。子犬の時に市販のフードをあまり食べなかった愛犬のために、手作りを始めたという方もいらっしゃるかもしれませんね。
でも正しい知識が身についていなければ、愛情たくさんの手作りごはんであっても、愛犬の健康にとっていいとは言えません。ぜひ、今以上に正しい知識を身につけて、愛犬の健康も考慮した食事を作ってあげてください。
オススメは50%手作りごはん
手作りごはんを作ってあげたい、という方の中には、ペット栄養管理士の資格を取ったり勉強をする時間までは取れない、という方ももちろんいらっしゃるでしょう。しかし、だからといって手作りごはんを絶対に諦めなくてはいけない、というわけではありません。愛犬に必要な栄養素を全て手作りごはんで賄おうとすると非常に大変なので、手作りごはんの割合を50%・市販のフードを50%にしてあげればいいのです。
朝は市販のフード、夜を手作りごはんにしたり、市販のフードに手作りごはんをトッピングしたりして、バランスがよくて愛犬の満足度も高い食事を作ってあげてください。
「うちの子はカリカリが苦手で食べないの」ということあれば、ウェットフードがオススメ。ラベルに「総合栄養食」と記載されているものであれば、必要な栄養素が摂取できるので、ぜひ愛犬お気に入りのフードを見つけてあげてください。
日頃の栄養バランスに気をつけていれば、誕生日やクリスマスなどの祝い事に愛犬用に手作りケーキを作ってあげるのもいいでしょう。愛情を込めて作った食事を通じて、飼い主さんの気持ちはきっと伝わります。愛情たっぷりの食事を摂ることで、愛犬が長く健康でいてくれたらいいですね。
★ワンペディア獣医師監修のフード関連記事もあわせてご覧ください。
選び方☞「愛犬のために選ぶべきドッグフードとは」
種類☞「ドッグフードの種類と正しい選び方」
管理方法☞「食中毒に要注意!暑い時期のフード管理方法」
ペットフード安全法☞「みんなが買っている市販のドッグフードは安全? 」
★「うちの子」の長生きのために、年齢や季節、犬種など、
☞例えば、下記のような切り口で、
再発しやすい
長期の治療が必要
初期は無症状が多い
命にかかわるリスクが高い
生涯かかる治療費が高額
高齢犬に多い
病気の進行が早い
緊急治療が必要
入院が必要になることが多い
かかりやすい病気
他の犬にうつる
人にうつる
予防できる
子犬に多い
アイペット獣医師
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