現在、地球上には発見・命名されているだけでも137万種以上の「動物」がいます。その7割ほどが昆虫類など節足動物で、犬や猫が含まれる「哺乳類」はたったの5513種しかいません。今回は、犬という動物が、生物の中でどのような位置づけなのか、同じグループにはどんな仲間がいるのか紹介します。

 

 

生物の分類は進化に基づいている

 

 

今地球に生きている生物も、今まで化石で見つかっている過去の生物も、すべての生物が科学者によって分類されています。私たちは日常生活で動物を「姿かたち」で分類しがちですが、科学の分類は進化に基づいて分けられます。共通の祖先を持つ(祖先から受け継ぐ同じ形質を持つ)ごとにグループ分けがなされているのです。

 

例えば人間や犬は、他の生物を食べることで生きているので「動物」です。そして動物の中でも、背骨を持つので「脊椎動物」というグループに入ります。さらに脊椎動物の中で、お乳で子供を育てるので「哺乳類」に属します。といったように大きい分類群から小さい分類群へと分けられていくのですが、これら分類群には名前があって、大きいほうから「界」「門」「綱」「目」「科」「属」「種」といいます。一番小さな分類群である「種」は、基本的に互いに交配できない、または交配できても次世代が生殖能力を持たないことによって区別されます。

かつて動物の分類、特に過去の動物の分類は化石だけが頼りでしたが、最近は分子生物学といって、現生動物の遺伝子を調べることで類縁関係、進化の過程を導き出す方法も行われ、哺乳類の分類体系もだいぶ変わってきています。

 

 

食肉目イヌ科に分類される犬。ほかにはどんな仲間がいるの?

 

 

犬を科学的に分類すると、下図のようになります。

 

 

犬は哺乳綱に属しますが、なかでも胎盤によって赤ちゃんを育てる有胎盤類(現在は真獣下綱という分類)に属し、さらには獲物を捕らえて食べる食肉目の仲間です。食肉目にはイヌ亜目とネコ亜目の2つの大きなグループがあり、犬はその名の通りイヌ亜目に属していて、イヌ科以外にクマ、イタチ、そしてアシカやアザラシなど海の動物、鰭脚類(ききゃくるい)が含まれます。イヌ科には、犬の原種であるオオカミのほか、キツネやタヌキもいます。

 

 

犬の学名とは? 学名ってどんな名前のこと?

 

 

私たちが呼ぶ犬や猫といった和名以外に、すべての生物は科学の名前「学名」がつけられています。学名は分類名の「属」と「種」(亜種である場合は亜種もつける)の名称で呼ばれます。私たちの姓と名のようなものです。

犬はCanis属lupus種 familialis亜種であるので、学名はCanis lupus familialisとなります。

Canis lupusは犬の原種であるタイリクオオカミのことです。つまり犬はタイリクオオカミの亜種という位置づけであることが名前から分かります。

ちなみにチワワやプードルといった犬種は「品種」のことですが、品種は人が作り出したもので進化に基づく分類名ではありません。

 

 

近いようで遠い犬と猫との関係

 

 

犬と猫は人間にとって2大伴侶動物ですが、分類学的にも食肉目のイヌ亜目、ネコ亜目という2大グループを代表する動物でもあります。同じ食肉目に属するということは、犬と猫は同じ祖先から進化してきた共通点の多い動物ということ。犬も猫も鋭い聴覚と嗅覚でもって獲物を捕らえ、肉を引き裂く牙を持つハンターであることは皆が納得することでしょう。

しかし、一方で2つの大きなグループに分かれるということは、異なる点も多い動物でもあるということです。それは進化の過程において、早い段階で共通祖先から分かれるきっかけがあり、それぞれが異なる道を歩み、獲得してきた特徴も異なるからです。犬派、猫派と私たちが議論を戦わせるのは、実は進化がもたらした結果なのかもしれません。

 

*「猫の歴史」については、「にゃんペディア」記事をご覧ください。

 

 

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