犬らしい特徴とはどんなことでしょう。例えばエネルギッシュで散歩が欠かせないこと、社会性があって他の犬や人と積極的にコミュニケーションをとろうとすることなどがあげられます。また、食いしん坊で一気食いや拾い食いに悩む飼い主さんも多いでしょう。このような犬らしさは、実は数千万年に及ぶ進化の歴史の中で培われてきたものです。

 

 

共通祖先から分かれた犬と猫

 

 

今から4800万~4000万年前、北米やヨーロッパには深い森が広く発達し、そこにイタチのような姿をした「ミアキス」という小型肉食動物がいました。そのミアキスの仲間に犬と猫の祖先がいたと考えられています。4000万年前までに、ミアキスのある種類から犬の系統となるイヌ亜目のグループと猫の系統となるネコ亜目のグループの2大グループが分かれたとされます。

 

北米を中心に起こった犬の進化

 

 

犬の系統となるイヌ亜目には、絶滅したアンフィキオン科、クマ科、イヌ科のグループがいます。最初のイヌ亜目の祖先が現れてからわりと早い時期、3900万年前頃に最初のイヌ科が北米に現れたと考えられています。これ以降、イヌの進化は北米を中心に進みます。

 

追跡型のハンターとして進化した犬

犬の原種であるオオカミは、群れで獲物を長時間、時には何日も追いかけまわし、相手が疲れた時を狙って集団で襲うという狩りの方法を行います。犬が一般的に「追跡型ハンター」といわれるゆえんです。対して猫は、何日も木々の陰に隠れて獲物を待ち、獲物が通りかかったところを飛び掛かって一瞬で仕留める「待ち伏せ型ハンター」です。持久力が求められる追跡型と瞬発力が求められる待ち伏せ型とでは、肘関節の形が違います。イヌ亜目の化石動物も最初はネコ亜目と同じような形の肘関節をもっていましたが、2300万年前くらいまでに肘関節の形が追跡型へと変化しました。

 

きっかけは森林の退化

2300万年頃から地球は徐々に寒冷化、乾燥化していき、その影響で広く分布していた森林が減り、草原が広がり始めました。この時ネコのグループは森に残りましたが、イヌのグループは草原に出て行ったようです。草原では隠れて待ち伏せする場所がありません。そのため、待ち伏せ型の狩りから追跡型狩りへと方法を変えざるを得なくなりました。当時いた、イヌ科のボロファグス亜科(絶滅種)の肘関節には、長時間走れる形へ変わっていく証拠が残っています。

 

本格的な草原の出現で犬らしく

およそ1600万年前~1000万年前になると草原化が本格的になり、現在の犬のグループであるイヌ亜科に明確な走行型への変化が見られるようになりました。つまり鎖骨が退化(複雑な動作が不必要になるため)し、走るための細長い四肢や持久力を獲得したのです。さらに、大型動物を狙う追跡型狩りでは毎日獲物を食べられるわけではないので、ため食いの習性を持つようになり、効率よく獲物を狩るために群れで生活するようになったり、社会性を身につけたりするといった、犬らしさも育まれていきました。

 

 

人間との出会い、パートナーに

 

 

犬の仲間は北米で多様化し進化しましたが、その後800万年前には陸橋によってアジア、ヨーロッパへ渡り、さらにアフリカへと広がります。さらに300万年前には南アメリカとも陸続きになって南アメリカへも進出し、犬たちは世界中に生息するようになりました。

そんな中、タイリクオオカミが人類と出会い、家畜化された「犬」が現れたとされます。この家畜化がいつ起こったのかは、いまだ定説がありません。4万年前にヨーロッパで起こったという説や、3万2000~1万年前に東アジア南部で始まったという説、あるいは中東、ヨーロッパなどを含め数箇所で始まったなど、さまざまな説があります。

 

オオカミから犬へ

オオカミの中でも、おそらく好奇心が強く人懐こい変わった個体が人の近くで暮らすようになりました。最初は人の残飯をあさるなど野犬のような暮らしをし、徐々に人に飼われるようになり、長い時間をかけてオオカミという野生種から犬という亜種が生まれたと考えられます。犬は社会性があって、また雑食性も強いという特徴から、猫よりもずっと早く家畜化が進みました。おそらく狩猟採集生活をしていた当時の人々にとって、犬は心強いパートナーになったに違いありません。

 

さまざまな犬種

家畜化された犬は当面使役犬として活躍しました。最初は狩猟用として、そして人々の文化・文明の発達にともなって、使役の範囲は広がります。家を守るための番犬、戦争が起きれば軍用犬、牧畜が発達した場所では牧畜犬と、さまざまな使役犬が生まれ、それぞれの仕事に適した「犬種」が生まれました。現在、犬種は国際畜犬連盟に認定されているだけでも350種あまり。これは、犬という動物が、人の歴史や暮らしと深く結びついている証なのかもしれません。

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ワンペディア編集部

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