犬は全身がふさふさの毛で覆われているため「皮膚のできもの」というのはなかなか見つけるのが大変です。実際に、普段から全身を触っていないと小さいできものには気づかないことが多いのです。できものができる理由は色々あります。蚊にさされた、細菌やウイルスが原因となるもの(これがニキビにあたります)、アレルギーによるもの、腫瘍やポリープなどがあります。その中でもダックスフンドが特にかかりやすい「無菌性結節性脂肪織炎(むきんせいけっせつせいしぼうしきえん)」という病気について解説したいと思います。

 

こんな症状がでたら気をつけて

□ できもの(しこり)ができ、それが破裂して膿がでてきた

□ できもの(しこり)があるがなかなか治らない

□ 1つだったできもの(しこり)が複数に増えてしまった

 

無菌性結節性脂肪織炎とは

ダックスフンドに比較的よく見られる皮膚の病気です。腰や足の付け根等の皮膚にしこりができ、それが膨らんで破裂したり、そのしこりが何個もできてしまったりする病気です。すぐに判断をするのが難しく、診断にも時間がかかります。一般的に完治が難しく、生涯お薬が必要となる場合もあります。

 

無菌性結節性脂肪織炎の「原因」と「症状」

はっきりとした原因はまだよくわかっていません。免疫が関与していると考えられていますが、この病気が発症するには様々な病気が隠れていたり、複数の病気が関連している場合もあります。つまり、この病気を疑われる場合には他に治療すべき病気がないか全身をきちんと検査していく必要があります。具体的には、

□ 膵臓(すいぞう)疾患

□ 関節リウマチ

□ 多発性関節炎  (たはつせいかんせつえん)

□ 肝臓疾患

□ リンパ球形質細胞性腸炎(けいしつさいぼうせいちょうえん)

□ 全身性エリテマトーデス

等といった病気を同時に発症していたとの報告があり、何かしらの病気が引き金となる可能性があります。また、以前に手術をしていて、その時の縫合糸(ほうごうし)がきっかけで発症してしまうこともあるのです。

 

無菌性結節性脂肪織炎の「症状」は実に様々です。

□ 発熱(40度前後)

□ 元気、食欲の低下

□ 皮膚もしくは皮下に1つもしくは複数のしこり

□ 患部の疼痛や熱感

全身に複数のできものができて、それがはじけて膿を出す場合もあります。それにより熱がでたり、体が痛くて動きたがらなくなってしまうこともあるのです。そして、その他に引き金となるような病気がある場合、その病気の症状も一緒にでてきます。

 

無菌性結節性脂肪織炎の「診断」

病院に行った日に診断がつくということはありません。まずは、そのしこりが細菌やウイルスの感染によるものではないということをきちんと診断する必要があります。通常、この病気は抗生物質では治る可能性が低いです。名前の通り、「無菌性=菌がそこには存在しない」というのが前提となりますので、菌に対する薬では完治できないのです。

感染(細菌やウイルスが原因)がないことがわかると、この病気を疑っていきます。確定診断をつけるためには皮膚生検といって、皮膚の一部を採取し病理診断を出す(専門医に診断してもらう)ことで行っていきます。

診断をつけるのには時間がかかります。その間、適切な治療にたどり着けず、辛い思いをするかもしれません。可哀想だと思っても耐える事も必要です。焦らず、主治医の先生と相談をしながら順番に検査をすすめていきましょう。

 

無菌性結節性脂肪織炎の「治療」

ステロイドによる治療が一般的です。可能な限り少ない量でステロイドを飲み続ける必要がありますが、免疫(めんえき)抑制剤(よくせいざい)という免疫力を下げる薬を使うこともあります。獣医師の指示無しに薬をやめてしまうと再発してしまうことがあるため注意が必要です。その他、漢方のような東洋医学で皮膚や体質改善を促し治療をする場合もあります。

ステロイドと免疫

ステロイドや免疫抑制剤を使用すると体の抵抗力(=免疫)は下がります。細菌やウイルスなどの感染がある時にこれらの薬を使用すると、抵抗力が下がるため細菌やウイルスが悪さをする可能性が高まります。なので、「感染によるしこりではない=無菌である」ということを診断しないといけないのです。

また引き金となった病気を一緒に治療をしないと治りが悪い可能性があるため、しこりだけでなく全身をきちんと検査し、治療をしていく必要があります。

 

 

★犬種や季節、年齢など、うちの子がかかりやすい病気を調べて予防するため、「うちの子おうちの医療事典」を、ご利用ください。

本記事に関連する病気を調べる

エリテマトーデス

関節炎

 

★ 例えば、下記のような切り口から、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

 

【治療面】■ 再発しやすい ■ 長期の治療が必要 ■治療期間が短い ■ 緊急治療が必要 ■ 入院が必要になることが多い  ■手術での治療が多い ■専門の病院へ紹介されることがある ■生涯つきあっていく可能性あり

【症状】■ 初期は無症状が多い ■ 病気の進行が早い

【対象】■ 子犬に多い ■ 高齢犬に多い ■男の子に多い   ■女の子に多い ■ 大型犬に多い ■小型犬に多い

【季節性】■春・秋にかかりやすい ■夏にかかりやすい

【発生頻度】■ かかりやすい病気 ■めずらしい病気

【うつりやすさ】 ■ 他の犬にうつる ■ 人にうつる ■猫にうつる

【命への影響度】 ■ 命にかかわるリスクが高い

【費用面】 ■ 生涯かかる治療費が高額 ■手術費用が高額

【予防面】 ■ 予防できる ■ワクチンがある

 

 

犬種別飼い方ガイド「ミニチュアダックスフンド」

ミニチュア・ダックスフンドの飼い方やかかりやすい病気を記載しています。あわせてご覧ください。

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アイペット獣医師

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