動物病院を受診するとき、「うまく症状を伝えられるかな」「何を持って行けばいいのかな」と不安に思う飼い主さんもいらっしゃるかと思います。

 

実は、受診する前に少しの準備をしていただいたり、伝え方を工夫していただくことで、診察の正確さやスムーズさが大きく変わることがあります。

 

ここでは、獣医師の立場から「動物病院のスムーズなかかり方」をご紹介します。

 

 

獣医師がとくに聞きたいこと・症状の伝え方

診察では、獣医師が愛犬の様子を直接見るだけでなく、飼い主さんの観察情報がとても重要になります。以下のような情報を、できるだけ具体的に伝えてください。

 

いつから:症状が出たのはいつ頃からか

どんな様子:咳・嘔吐・下痢など、回数や時間帯、頻度など

食欲・元気・排泄の変化:普段との違いを中心に

家庭での環境や変化:引っ越し、新しいペット、食事変更、ストレス要因など

 

※写真や動画の持参もおすすめです。

たとえば「咳」や「歩き方の異常」は、病院では症状が出ないことも多いため、動画で見せてもらえると診断にとても役立ちます。

 

 

 

 

 

初診の場合のポイント

初めて動物病院を受診する際は、犬も飼い主さんも緊張しがちです。
スムーズに診察を受けるために、次のような準備をしておきましょう。

 

愛犬の生育歴(いつから飼育しているのか、どこで(ブリーダー・ペットショップ・保護など)生まれ育ったのか、など)

過去のワクチン接種記録や健診の結果

現在使っているフードやサプリメントの情報(写真でもOK)

現在飲んでいる薬の情報(実物・薬袋・メモなど)

保険証(加入している場合)

 

初診時は緊張して、話したいことを忘れてしまうこともあります。
症状のメモや質問リストを紙に書いて持っていくとスムーズです。

 

 

 

持病がある犬の場合の注意点

慢性疾患(心臓病、腎臓病、糖尿病など)がある場合、治療の継続性が大切です。

 

新しい病院にかかるときは、

これまでの治療経過がわかるものをできるだけ持参

してください。

 

過去の血液検査・尿検査・画像検査の結果

服用中の薬やサプリのリスト

症状の経過メモ(体重、食欲、水を飲む量など

 

病院が変わる場合は、

「紹介状」や「検査データのコピー」をお願いしておく

と、診療がスムーズになります。

 

 

獣医師側のちょっとしたお悩み

飼い主さんに知っておいていただけると獣医師側として助かる点をいくつかご紹介します。

 

• 「なんとなくいつもと違う」「なんとなく元気がない」が主訴の場合

→ もう少し具体的な情報があると助かります。いつもは喜んでお散歩に行くけど歩きたがらない、少し動くと疲れやすい、ここを触ると痛そう、などの具体例が、診察へのヒントとなることがあります。些細なことでも相談してみましょう。

 

• 飼い主さんがネットの情報だけで自己判断してしまう

→ ネット情報などは参考にしつつ、診察で獣医師に確認をしましょう。

 

• 薬を途中でやめる・違うペットに使う

→ 思わぬ副作用や再発の原因になることがありますので注意しましょう。

獣医師も病気やケガを治したいという気持ちは飼い主さんと一緒です。
不安に感じたりわからないことは動物病院で相談してみてください。

 

 

よくある質問(Q&A)

Q1:ちょっとしたことでも受診していいの?

A:軽い症状のうちに診察することで、早期発見・早期治療につながります。

 

Q2:電話で相談だけしてもいい?

A:状態によりますが、電話だけでは正確な診断が難しく、実際に動物を診ることはとても重要です。可能であれば受診されることをおすすめします。

 

Q3:多頭飼いですが、他の子も連れていくべき?

A:感染症の可能性がある場合は、他の犬の状態も伝えてください。必要に応じて検査を行います

 

Q4:診察のときにペットが怖がります。どうすれば?

A:キャリーに入れたり、タオルで包むなど、落ち着ける工夫をしてみましょう。普段からキャリーに慣れるようにトレーニングしておくことも大切です。

 

Q5:急に具合が悪くなったときは?

A:まずはかかりつけの動物病院に連絡し、指示を仰ぎましょう。普段から、夜間や休診日などの場合に受診できる病院や、自宅から最も近い救急病院などを把握しておくことも重要です。

 

 

動物病院は、「病気を治す場所」であると同時に、愛犬の健康を守るパートナーでもあります。
症状の伝え方や準備を少し工夫するだけで、より正確で負担の少ない診療が可能になります。

気になることがあれば、遠慮せず「こんなことで相談していいのかな?」と聞いてみてください。
その一言が、愛犬の健康を守る第一歩になります。

 

 

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フクナガ動物病院 獣医師

福永 めぐみ

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