犬の薬についての様々な疑問に、獣医師がQ&A形式で分かりやすく回答していきます!

Q.動物用医薬品ってなんですか?

 

A.動物用医薬品とは、動物の病気の予防・治療・診断を目的に使用される医薬品のことです。ここでいう「動物」には犬や猫などの伴侶動物(ペット)だけでなく、牛・豚・鶏・馬・魚などの産業動物も含まれます。

 

医薬品、医薬部外品、医療機器などは、「医薬品医療機器等法(旧称:薬事法)」という法律で規制されています。この中で、動物専用に使用される医薬品を「動物用医薬品」といい、品質・有効性・安全性ともに農林水産省の審査を受けて承認を得たものに限ります。

 

犬に関わるものとしては、フィラリア予防薬や解熱鎮痛薬、ワクチンなどがあります。

 

Q.動物用医薬品は普通の薬局で買えますか?

 

A.動物用医薬品には、「要指示医薬品」とそれ以外の「一般医薬品」があります。

要指示医薬品は、取り扱いに専門的な知識を必要とするため、獣医師から処方するか、獣医師の診察を受けた上で獣医師が発行する処方箋や指示書が必要となります。これには、抗生物質やホルモン剤、ワクチンなどが該当します。

 

一般医薬品については、医薬品医療機器等法で定められた販売許可を得ている販売店(ドラッグストアやホームセンターなど)に限り、購入することができます。また、一般に、調剤薬局では動物用医薬品の調剤は行われておらず、調剤を必要とする場合には動物病院で行うのが通例です。

 

 

Q.薬は通販で買ってもよいですか?海外から同じ成分の薬を輸入してもよいですか?

 

A.動物用医薬品のうち、要指示医薬品以外の一般医薬品に関しては、農林水産省の定める医薬品医療機器等法に則り、許可を得ている販売店に限り販売を行うことができます。そのような販売店から、通信販売で薬を購入することは可能です。

 

また、近年では海外医薬品を個人で輸入したり、輸入を代行する業者もインターネット等を介して目にする機会が増えました。これにも当然ながら厳しい規定が設けられていますが、正式な手続きを行うことで、個人輸入等を行うことも可能となっています。

 

ただし、動物病院以外で薬を購入するということは、獣医師の判断なしに動物に薬を投与するということになります。動物の種類や体重などによる適正な用法・用量が守られなければ、健康を害してしまう危険性もあります。また、動物への安全性、薬の安定性、販売ルートの安全性や合法性などは担保されず、飼い主さんの自己責任となります。さらに持病がある犬の場合には、その薬が現在の病状や体調に適しているか、注意すべき副作用はあるか、薬の飲み合わせは問題ないかなど、さまざまな確認が必要ですので、「便利だから」「安価だから」という理由で安易に購入し使用してしまうのには、リスクを伴うことも理解しておいてください。

 

Q.「動物用」と「人用」の薬って何が違うのですか?

 

A.どちらの医薬品も、医薬品医療機器等法という法律のもとで、製造販売されているのは同じです。

動物用医薬品の中には、人用の医薬品と同じ成分のものもありますが、投与する動物専用に有効成分の含有量や薬の形などが設計されており、より安全かつ有効に投与することができるとされています。

 

 

Q.人間の薬と同じ名前の薬は、同じものなので与えても良いですか?効能は同じですか?

 

A.動物病院で処方される薬には、人用の薬をその犬に適した用量にして処方されるケースが多くあります。しかし、飼い主さんの自己判断で、人用の薬を犬に与えるのは危険です。

 

同じ名前の薬でも、有効成分の含有量や薬の形状にはさまざまな種類があります。また、犬と人間とでは、その薬の必要な量や、体内での代謝・排泄の仕方、副作用なども異なる場合があり、最悪の場合中毒を起こしてしまう危険性もあります。特定の犬種によっては、使用できない成分もあります。また、犬と人で同じ病気の治療を目的として処方されることもありますが、同じ成分でも犬と人では異なる用途で処方される薬もあります。

 

これらの理由から、人用医薬品は自己判断で与えないようにし、もしもその必要がある時には、かかりつけの獣医師に必ず確認しましょう。

 

Q.症状が良くなったら薬を飲ませるのをやめても良いですか?

 

A.処方された薬は、指示された通りに使用しましょう。

動物病院の獣医師は、専門家としての知識と経験、エビデンスに基づき薬を処方しています。

 

中には、症状が改善したら休薬できる薬や、頓服薬のように症状が出た時のみ使用する薬もありますが、特別な指示がない限り、用法用量を守って最後まで投与してください。とくに抗生物質は、途中で薬をやめたり、投与間隔や量を変えたりすると、その抗生物質が効かない病原菌(薬剤耐性菌)を作り出してしまう原因にもなるので、処方された分はしっかり飲ませ切るようにしてください。ただし、薬を飲ませてから体調に異変が起きた場合には、次に薬を飲ませる前に動物病院に相談しましょう。

 

Q.愛犬に薬を飲ませてから、下痢をするようになりました。飲ませ続けた方が良いですか?

 

A.薬を飲ませてから愛犬の体調に異変を感じた場合には、処方された動物病院にすぐに連絡をして、獣医師の指示を仰ぎましょう。特に薬の投与を開始した直後は、副作用が現れたり、体調に異変が起こりやすいので、よく観察してあげるようにしてください。

 

参考:

農林水産省

日本獣医師会

公益社団法人日本動物用医薬品協会

 

 

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フクナガ動物病院 獣医師

福永 めぐみ

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