アイペット損害保険株式会社が2022年3月に発表した「ペットに関する支出調査2021年」(※)によると、2020年と比較して、合計金額に大きな変化がありませんでしたが、その内訳については、「病気やケガの診療費」の割合が増加しました。また、年間支出の合計額が10万円以上の割合も増加しており、ペットの健康に関する支出増は、飼い主さんの懸念事項になりそうです。

(※)調査概要

調査対象:全国の犬・猫飼育者

調査人数:1,018名

調査期間:2022年3月15日~3月23日

調査方法:インターネットにおけるアンケートを実施

あなたの愛犬の合計支出はおいくらでしたか?

 2021年の年間ペット関連支出(図1)をおたずねしたところ、犬の飼い主さんは「5万円以上~10万円未満」が29.6%、猫の飼い主さんは「5万円未満」が36.9%で最多となり、3年連続で猫よりも犬の方が、支出が多い結果となりました。

 2020年(図2)との比較で増加が目立った金額帯は、犬で「20万円以上~30万円未満」(+4.7ポイント)、猫で「10万円以上~20万円未満」(+6.0ポイント)となり、10万円以上と回答した方の割合が増え、全体の4割を占めるに至りました。

 

(図1)ペット関連の年間支出合計(2021年)

図1 2021年「年間ペット関連支出額」~ 犬は10万円以上が46.9% 猫は10万円以上が31.3%

 

(図2)ペット関連の年間支出合計(2020年)

図2 2020年「年間ペット関連支出額」~ 犬は10万円以上が43.6% 猫は26.1%

 

 

2021年のペット関連支出は、前年比でどうなりましたか?

 2021年の「ペット関連支出は前年比でどうなったか」(図3)との質問では、7割強の飼い主さんが「変わらない」と回答した一方、「増えた」と回答した方は、犬の飼い主さんが26.4%、猫の飼い主さんが21.0%でした。コロナ生活が始まった2020年(図4)は、コロナ前の2019年より支出が増えたと回答された方の割合が大きく増えましたが、犬の飼い主さんについては、2021年も26.4%もの方が、引き続き前年より支出が増えたと回答されています。

 

(図3)ペット関連支出は前年比どうなったか(2021年)

図3 2021年「ペット関連支出の前年比」 犬の飼い主さんは、前年より増えたとの回答が26.4%、7割が変わらず。

 

(図4)ペット関連支出は前年比どうなったか(2020年)

図4 2020年「ペット関連支出の前年比」 コロナ禍 1年目の生活スタイルで、犬猫とも支出増に。

 

 

最も支出が増えたのは何ですか?

犬の飼育者さんは「病気やケガの診療費」がトップ

 2021年の支出が「増えた」と回答された方に、「何にかける費用が一番増えたか」(図5)との質問では、犬の飼い主さん、猫の飼い主さんとも「病気やケガの診療費」が最多となりました。

 コロナ禍1年目の2020年(図6)との比較でも、「病気やケガの診療費」が増えたと回答された割合が、犬で7.9ポイント、猫で2.5ポイント増加しています。外出自粛やテレワーク普及で在宅時間が増え、うちの子の体調変化に気づきやすい状況が続いているようです。

 

(図5)何にかける費用が一番増えたか(2021年)

(図6)何にかける費用が一番増えたか(2020年)

 

どのぐらい費用が増えましたか?

増えた額は「1万円以上~3万円未満」が最多だが、「10万円以上」も際立つ

 続いて、「どのぐらい費用が増えたか」(図7)では、犬・猫とも「1万円以上~3万円未満」が最多となりました。「10万円以上」も増加した割合も、「増えた」と回答した方の中で20%(犬18.1% 猫25.3%)を超えており、2020年との比較で、この点が、際立っています。

 

(図7)どのぐらい費用が増えたか(2021年)

(図8)どのぐらい費用が増えたか(2020年)

 「増えた理由」(図9)の自由回答では、「医療費などのペットの病気に関連した支出の増加」「フードの値上げ」「ペットの高齢化に伴う支出」のほか、「在宅時間が増えたことで、以前よりペットを気に掛けることができる時間が増えたから」と回答された方が33.2%、「外出自粛等の影響で支出が減り、ペットに充てることができるお金が増えたから」との回答も17.2%にのぼりました。飼い主さんがコロナ禍の生活で、日々うちの子と愛情深く向き合われ、癒されている様子がうかがえます。

 

(図9)支出額が増えた理由(2021年)

 

一番大きい支出と感じる費用は?

「フード・おやつ」の割合増加が継続中

 「ペット関連支出の中で一番支出額が大きいと感じるものは何か」(図10)との質問では、犬猫とも「病気やケガの診療費」「フード・おやつ」「ワクチン・健康診断などの予防費用」が上位に並びました。犬の飼い主さんでは「病気やケガの診療費」、次いで「ワクチン・健康診断などの予防費用」、「フード・おやつ」の順で続いています。

 中でも「フード・おやつ」との回答は、犬の飼い主さんで19年→20年で+7.4ポイント、20年→21年で+1.5ポイントと上昇を続けています。一方、犬の飼い主さんで負担感トップの「病気やケガの診療費」は、19年→20年で▲5.9ポイント、20年→21年で▲2ポイント減少を続けており、コロナ禍以降「フード、おやつ」の支出が大きいと感じる方が増加傾向にあります。「ペットのコロナ太り」や「おやつのあげすぎ」など、ペットと過ごす時間が増え、よりペットの健康や嗜好に適したフードを意識されている様子がうかがえます。

 

(図10)支出額が大きいと感じる費目(2021年)

 

(図11)支出額が大きいと感じる費目(2020年)

 

2022年のペット関連支出の予測

「増えそう」と回答した犬の飼い主さんは32.9%

「2022年のペット関連支出の予測」(図12)についての質問では、「増えそう」と回答した方は、犬の飼い主さんで32.9%、猫の飼い主さんで22.5%にとどまり、全体の7割弱が「変わらなそう」との回答になりました。

 

(図12)2022年のペット関連支出の予測

 

増えそうな支出は「病気やケガの診療費」、理由は「ペットの高齢化」

 「増えそう」と回答した方に、「2022年のペット関連支出で増えそうなものは何か」をおたずねしたところ、犬・猫の飼い主さんとも「病気やケガの診療費」が最多となりました。ついで「ワクチン・健康診断などの予防費用」「フード、おやつ購入費」が続き、前述の「一番支出額で大きいと感じる費用」と同じ項目が並びました。

 

(図13)2022年のペット関連支出で増えそうなもの

また、理由としては、自由回答で「ペットの高齢化に伴う診療費増加」などが要因と考えられる回答が多くあがった他、昨今の情勢から「物価の高騰」を心配する声も挙がりました。

 

理想の支出額、ペット飼育者の3人に1人が理想に近い年間支出額

 「ペット関連の合計支出の年間理想額」については、犬の飼い主さんは「5万円以上~10万円未満」、猫の飼い主さんは「5万円未満」が最多で、前述の「2021年のペット関連合計支出(年間)」の回答でも、最多ゾーンと同じ結果でした。2021年のペット関連年間支出は、3人に1人が理想に近い支出額だったという見方もできそうです。

 

(図14)理想のペット関連の合計支出額(年間)

 

今後、試してみたい新しいサービスへの支出は?

 オンライン上でのサービスやコロナ禍における新しいニーズへの関心が高まる

 コロナ禍で新たなニーズが生まれ、新しいペット関連サービスも誕生しています。そこで、「今後、試してみたい支出項目(サービス)」について質問したところ、「オンラインによるペットの健康診断、相談」「オンラインでのペット関連用品購入」が、犬の飼い主さん、猫の飼い主さん共通で上位に挙がりました。

 2021年は、新型コロナウイルス感染拡大が続く中、ワクチン接種が進むなど、日常生活に徐々に変化を感じる1年でしたが、依然として続いた外出自粛や在宅時間増加に伴い、オンライン上でのサービスにこれまで以上に関心が高まっているようです。

 その他、犬の飼い主さんでは、「ペットと泊まれるホテルへの宿泊」、猫の飼い主さんでは、「ペット家電(スマートトイレ、首輪型IoTデバイスなど)」などが次点に挙がり、コロナ禍における旅行への新しいニーズや、自宅でペットと過ごす時間が増えたことに伴う、室内で使うペット用品への興味・関心の高さを感じる結果となりました。

 今回の調査では、昨年と比べ年間支出の合計額の割合に大きな変化は見られませんでしたが、その内訳については、「病気やケガの診療費」の割合が増加するなどの傾向が見られました。さらに、今後増えそうな支出でも「病気やケガの診療費」「ワクチン・健康診断などの予防費用」が上位にきており、長引くコロナ禍によって、生活スタイルが変化し、ペットと向き合う時間が増えたことで、ペットの体調や健康状態に目を向ける方が増えていることがうかがえます。また、年間支出の合計額が10万円以上と回答した方の割合も増加しており、ペットの健康に関連する支出の増加は、今後もペット飼育者にとって、懸念事項の1つとなることが予想されます。

 ペットの医療には、公的な健康保険制度がないため、病院を受診すると自由診療となり、診療費が基本的に全額自己負担となるため、飼い主の医療費負担が大きくなりがちです。そうした診療費の負担を軽減し、大切なペットの万が一に備える手段の一つとして、ペット保険があります。大切なペットの万が一の病気やケガの際に経済的な心配をせず、ペットにとって最善な治療を選択できるよう、ペット保険の活用を検討されることをお勧めします。詳しくは『【調査結果】犬の傷病ランキング2021』をあわせてご覧ください。

 

☞【関連記事】アイペット獣医師監修『ペットと私の暮らしメモ』~犬を飼うにはどのくらい費用がかかる?初期費用や支出の割合は?も、ぜひご覧ください。

 

★「うちの子」の長生きのために、年齢や季節、犬種など、かかりやすい病気や、症状や病名で調べることができる『うちの子おうちの医療事典』をご利用ください。

 

☞例えば、下記のような切り口で、さまざまな病気やケガを知ることができます。  

再発しやすい

長期の治療が必要

初期は無症状が多い

命にかかわるリスクが高い

生涯かかる治療費が高額

高齢犬に多い

病気の進行が早い

緊急治療が必要

入院が必要になることが多い

かかりやすい病気

他の犬にうつる

人にうつる

予防できる

子犬に多い

アイペット損害保険株式会社

ワンペディア編集部

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