デスクの上に乗る犬

ペットフードの「ウィスカス®/カルカン®」「ペディグリー®」や、お菓子の「スニッカーズ®」「M&M’S®」で知られるマース インコーポレイテッド(以下、「マース」)。マースの日本の拠点であるマース ジャパン リミテッドのオフィスは、目黒駅近くのビルの1フロアにあります。

ここマース ジャパンの従業員は飼い犬と一緒に出勤することができ、オフィスでは2匹の猫がのびのびと暮らしているんです!ペットフレンドリーな制度の仕組みと、取り入れた企業の思いとは何なのでしょうか?ペットと人の双方に優しいマース ジャパンのオフィスにて、広報・渉外部の中村由帆さんにお話を伺ってきました。

「ペットに優しいオフィス」はマースのグローバルスタンダード

Q.「犬や猫のいるオフィス」となった経緯を教えてください。

マースはグローバルで6事業を展開している企業で、その中のペットケア事業では「ペットのためのより良い世界(A Better World for Pets)」の実現をビジョンとして掲げ、それを体現する一つの施策として犬・猫と一緒に過ごすことの出来るオフィスを強く推奨しています。

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日本では、2005年にオフィスを移転する際に、ペットフレンドリーオフィスを実現できることを前提として移転先を探し、猫が居住し、犬・猫との同伴出勤が可能な現在のオフィスに決定いたしました。

自社のオフィスから証明!「ペットは人のストレスを減らしてくれる」

Q.ペットフレンドリー制度の理念となるマースさんの考え方とは、どのようなものですか?

マース ジャパンでは現在のようなペットフレンドリーオフィスをつくることで、犬はお家で留守番しているだけでなく飼い主と一緒に出勤することができ、猫はたくさんの従業員と触れ合いながら、オフィスでのびのびと暮らすことができます。

会議室にいる猫

会議室に猫がいたら、とってもなごみますね!

また、マースにはウォルサム®研究所(※1)という研究施設があり、「人と動物の関係学」というテーマの中で、犬や猫などのペット飼育が人にもたらす効用も研究しています。感覚的に、「ペットを飼っていると何かしら良い効果があるのではないか」と感じている方は多いと思いますが、ウォルサム®研究所ではそうした事柄を学問的に研究・証明しています。例えば、動物をオフィスに連れてきた人と留守番させていた人とでは、後者の方が帰宅時のストレスレベルが高いことが明らかになっています。マース ジャパンの犬同伴制度では、この「ペットは人間にとって良い影響をもたらす」という結果を自分たちのオフィスから実証することができます。それだけでなく、従業員のペットとの暮らしをより良いものにもできると考えています。

デスクの上に乗る犬

デスクに乗せてお仕事をすることも

※1 ウォルサム®研究所:マースのペットケア事業での製品開発を支える科学研究センター。栄養学、動物行動学、人と動物の関係学の研究などを行っています。

企業としての制約の中で、ペットへ最大限の気遣いを

Q.ペットフレンドリーの制度を整えるにあたり、意識したことはなんですか?

ペットフレンドリーな制度を取り入れる際は、動物たちにストレスを与えないよう、犬と猫それぞれの習性や生態を考慮しました。

猫は「場所につく」動物と言われています。従業員が自宅から連れてくる制度にすると大半の猫にとってはストレスとなってしまうため、オフィスで飼う形式にしました。一方、犬は「人につく」動物と言われていて、飼い主がそばにいれば安心する気質があります。そのため、飼い主がオフィスに連れて来る形にしました。

Q.ペット可物件探しでの苦労はありましたか?
窓際に佇む猫

よくビルの外を眺めてひなたぼっこするのだそう。

オフィスで猫を飼育したり、犬を連れてくるというのは、企業がオフィスを探す際の条件としては非常にユニークなものなので、2005年に現在のオフィスに引っ越す際は物件を探すのに苦労したと聞いていますが、現在オフィスは、マースのペットフレンドリーオフィスへ理解を示していただき、実現に至りました。なお、5月にはオフィスを移転しますが、移転先でも変わらずペットフレンドリーな環境となる予定で、今は引っ越しの準備中です。

犬から生まれるコミュニケーションは、オフィスの潤滑油!

オフィスにいるジャックラッセルテリア

今日はジャック・ラッセル・テリアの豆(まめ)ちゃんが来ていました!

Q.犬同伴出勤制度のルールや、工夫している点について教えてください。

一日に連れて来られる犬は基本的にオフィス全体で2匹までとしています。1匹が鳴きはじめて複数の犬がワンワンと共鳴しはじめると、収拾がつかなくなってしまいます(笑)。ですから業務の妨げにならないよう考慮して、上限は2匹と定めました。

オフィスで飼い主を待つ犬

飼い主さんに構ってもらえて嬉しくなったのか、ワン!とひと吠え。

犬を連れてくる際は、事前に指定の予定表へ記入をしてもらいます。希望日欄に従業員と犬の名前、犬種を書き入れます。よく来る犬の中でも仲の良い子とそうでない子、他の犬を追いかけまわしてしまう子などがいるので、相性を注意して調整を行っています。

また、犬を連れて来るとなると満員電車での出勤は難しいため、自家用車の場合は駐車料金、タクシーの場合はタクシー代を一部補助しています。

Q.実際には同伴されて来た犬はどのような形で過ごしているのでしょうか。

出社した犬は、飼い主の膝の上や足元、デスクの上など、飼い主のそばで一日過ごしています。当社のグリニーズ®という歯磨きおやつを食べている光景はよく見かけますね。飼い主が残業をすると不貞寝をする犬もいるようです(笑)。

オフィスに設置されているサークル

犬が遊ぶための大きなサークル(写真左)がオフィスに用意されています。

出社中の犬を表示するモニター

オフィスの大きなモニターに出社中の犬の情報が。この情報を見れば、当然みんな集まってきますね!

Q.この制度で得られる効用は何ですか?

犬を連れてくると、他の従業員が話しかけやすくなるみたいですね。普段関わりの少ない人が「かわいいね!」と話しかけに来て、コミュニケーションが大変活発になります。また犬を連れて来ていない日も、以前連れてきていたというだけで「○○ちゃんは元気?」といったコミュニケーションが生まれることもあります。先日は犬を飼い始めた従業員が、愛犬をオフィスに連れてきました。その方は「犬を飼って連れて来た途端、今までコミュニケーションを取るきっかけがなかった人と気軽に話すようになった」と想定していなかった犬を飼うことによる変化を喜んでいました。

初めて犬を連れてきた飼い主

今日初めて連れてきたという豆ちゃんの飼い主さん。「犬がいるとリラックスできますね!」とのこと。

犬を連れてくることで仕事効率が特別に上がるかと言うと、そういうわけではありません(笑)。しかし、従業員の間のコミュニケーションが活発になることは、良い仕事をする上での大きな効用だと考えています。

猫と人との共生のために考え抜かれたデザインとルール

オフィスで暮らす猫

マース ジャパンのオフィスには、現在2匹の猫が暮らしています!

アメリカンショートヘアー(写真奥):ウィスカー(男子、11歳)

日本猫:権之助(写真手前)(男子、11歳))

Q.オフィスの猫たちに関して工夫していることは何でしょうか?

まず猫アレルギーの方への配慮です。猫はキャットルームとトンネルで繋がった会議室のみで生活をして、他の場所には出ないように居住スペースが設計されています。ですからアレルギーの方でも、これらの部屋へ入室しなければ問題なく過ごせるようになっています。

キャットルーム

猫たちのお気に入りの場所、キャットルーム

また猫側のストレスにも気を配っています。キャットルームの入口には注意事項を書いた貼り紙を掲示しており、寝ている時は起こさない、キャットルーム内の隠れ場所にいる時は触らない、などのルールを周知・徹底しています。ルーム内には猫たちが上下運動できるようキャットタワーを設置しました。

猫が暮らすための社内ルール

猫のためのルールがたくさん!

会議室にあるキャットウォークは、人間の手が届かず、触られない場所に設置しました。キャットウォークを吊るしているワイヤーは、猫たちがかじってしまっても壊れない丈夫な素材を採用しています。

 

キャットウォークで遊ぶ猫

会議室のキャットウォークと権之助。丈夫なワイヤーも工夫のひとつです!

会議室とキャットルームを繋ぐトンネルは、狭い場所を好む猫の習性を考慮して、猫がぎりぎり通れるサイズにしています。

トンネルをくぐり抜ける猫

会議室とキャットルームを繋ぐ、猫だけの抜け道トンネル

徹底した健康管理で11歳になっても元気いっぱい!

Q.オフィスの猫は、どのように飼われているのですか?

従業員の中に担当者がおり、朝晩のご飯や掃除などのお世話をしていますが、立候補すれば誰でもお世話をすることができるようになっています。猫たちに気に入られるため、ご飯をあげることで覚えてもらおうというヨコシマな考えでお世話係に立候補する人もいます(笑)。

猫たちの体重は社内の獣医師や担当者によって厳密に管理されており、余分なおやつはあげない決まりとなっています。毎朝体重を測り、適正体重を保つようにしています。。私が今日与えている分も(今日はこちらへ呼び寄せるため特別におやつをあげてもらいました。)、あとで担当者に報告して一日に与えるフードの量から減らされます。そのため、今この子たちはハッピーな気分だと思いますが、あとでこっそりフードを減らされてしまうのです(笑)。そのおかげか、2匹とももう11歳なのに大きな病気をしたことがありません。

会議室で遊ぶ猫

ウィスカーが会議室に入ってきました!彼はカルカンのポスターと同じアメショです。

とはいえ、この子たちもシニア猫のため、オフィス移転を機に引退することが決まっています。今この子たちは「癒しを与えるお仕事」をしてくれているので、これからの人生は仕事から離れて自由気ままに暮らせる環境で過ごすこととなります。幸い、この仲良し2匹は同じ家に引き取られることになっていますので、引退後も一緒に暮らせることになりました。また、引っ越し先のオフィスでも新たに猫を2匹迎え入れます。次は2匹とも保護猫を引き取ってくる予定です。

机の上で遊ぶ猫

邪魔をしているのではなく、癒しを与えるお仕事中です!

癒しだけじゃない!猫のもたらす意外な効果とは?

Q.オフィスに猫がいることの効用はなんですか?

一緒にいるだけでとにかく癒されます。この子たちも「みんなの猫」になっていますから、「今日はお手をしてくれたよ!」といったことが従業員の共通トピックとなるのです。猫たちと触れ合い、生態を知ることで製品知識やアイデアを得ることもできます。例えば猫を飼っていないキャットフードの担当者でも、猫が自分の手からおやつを食べてくれるとどのような気持ちになるのか、など、この猫たちを通じて知ることができます。

社内だけでなく社外の方とのコミュニケーションも広がります。まず猫のいるオフィスは珍しいため、「うちのオフィスには猫がいるので、見にきませんか?」と外部のお客さまをお招きすることができます。また「理念を持って大切に飼育している」ということを実際の様子をご覧に入れながらご説明すると、「ペットのためのよりよい世界(A Better World for Pets)」の理念をはっきりご理解いただけます。ペット業界のお客さまであればなおさらですね。ちなみに日本猫の権之助は似た顔が多いようで、いらした猫好きの方が何人も「昔飼っていた猫に似ている」とおっしゃっていました(笑)。

社内にいる日本猫

日本猫で、保護猫だった権之助

*マースの素敵な取り組み番外編「ボランティア活動の推奨」*

マースでは従業員のボランティア活動を強く推奨しています。マース ジャパンでも幅広いボランティアプログラムを企画し、参加を推奨しています。

2015年は60人以上の従業員が保護犬施設のサポート活動を行いました。このプログラムは保護施設の援助となるだけでなく、ペットフード事業に携わる企業に勤める従業員として知っていなければならないペットの問題・状況を、実際に見て勉強してもらうことを目的としています。社長を含めて経営陣もボランティア活動へ参加しており、一般社員の理解や活動への参加が促進されています。

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ワンペディア編集部

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