多くの飼い主さんがドッグフードに気を使っているのではないでしょうか。栄養はしっかり摂れているのか、原材料は安全なのか、添加物はないほうがいいのか、色々と考える方は多いと思います。食べ物は愛犬の健康を支えるものだからこそ、気になりますよね。果たして飼い主さんが購入しているそのドッグフードは、安心して愛犬に与えてよいものなのでしょうか?
恐ろしい「4Dミート」、本当にあるの?
ペットフードの成分表記に「肉類」と書かれていることがありますが、これにはどのような肉が使われているのでしょう。「類」と記載されているところが不安をあおるためか、ネット上では「4Dミート」の存在がささやかれています。
4Dミートとは、「Dead(死んだ)」「Dying(死にかけている)」「Diseased(病気の)」「Disabled(けがをした)」動物の肉のこと。こういった肉類がペットフードの原材料として使われているとしたら…考えただけでも恐ろしいですよね。
しかし、現実にはこのような商品は販売できないようになっています。万が一そのようなことがあれば、そのフードは廃棄・回収の対象となってしまうのです。
少なくとも、日本国内に限って言えば、このようなペットフードが出回ることは決してありません。
日本で販売されているペットフードは安全?
日本国内における犬猫の取り扱いは、欧米諸国に及ばない点がいくつかあります。たとえば殺処分の問題。先進国の中でも日本で殺処分される犬猫の頭数は多いと言われています。また、ノーリードで愛犬と一緒に公共の乗り物や施設を利用できるヨーロッパと比べると、日本のペットを取り巻く環境は恵まれていません。こうした問題はメディアでもよく取り上げられているため、日本は欧米諸国と比べるとペットのための環境が整っていないと感じる方は多いかもしれません。
しかし、実は日本にも世界に誇れるペット領域があるのです。それがペットフードに関する法規制です。日本のペットフードは先進国の中でも厳しい規制のもとで管理されています。ペットフードの安全性でいうと、先進国の中でもトップレベルなのです。
日本のペットフードの歴史
もともと日本のペットフード業界は、フードの安全性について、かなり古くから業界内で自主規制がされていました。自主規制は法律ほどの拘束力はありませんが、法律より細かく厳しい基準が設定されています。現在、国内のフードメーカーの90%以上が加入しているペットフード公正取引協議会では、昔からこの自主規制のもとペットフードの安全性を確立していました。
そして、ペットフードがさらに厳しく管理されるようになる事件が2007年に起こります。メラミンという物質をたんぱく質と偽って混入させたペットフードがアメリカで流通し、それを食べた多くの犬や猫が、腎不全にかかって死んでしまったのです。日本で健康被害はありませんでしたが、これを機に日本政府は、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律 (ペットフード安全法)」を制定しました。日本国内で作られるペットフードの安全性だけでなく、海外から輸入されたペットフードの安全性も含めて法律で守られるようになったのです。
ペットフード安全法の威力
従来は、フードの原材料を80%表示することが一般的でしたが、法律の制定を機に全ての原材料を表示することが義務付けられるようになりました。そして、もし表示されていないものが含まれていて、内容に問題があった場合は、その商品は国によって廃棄・回収されることになったのです。
このことにより各フードメーカーは、安全な原材料を確保しなければならなくなりました。それだけでは終わらないのがペットフード安全法のすごいところ。政府機関による抜き打ち検査が各メーカーに定期的に入るようになったのです。日本が、「ペットフードの安全性チェックがトップクラス」と言われている理由がお分かり頂けたのではないでしょうか。
添加物も安全なの・・・?
加工品には添加物が含まれていることがありますよね。ドッグフードにも添加物を含む商品はたくさんあります。栄養添加物や保存料、着色料などがたくさん表示されていると、不安になる飼い主さんもいるかもしれません。
でもよく考えてみてください。人間が普段口にしている食べ物には、多くの添加物が含まれています。生まれたばかりの赤ちゃんに飲ませるための粉ミルクにさえ、添加物は含まれていますよね。つまり、「添加物=体に悪い物質」ではないのです。もちろん添加物の中には過剰に摂取すると体に悪影響を及ぼすものもありますが、そういう添加物は先ほど解説したとおり日本では規制されているのでご安心を。
価格の違いってなに?
では、なぜ商品によって価格が違うのでしょう?高い商品のほうが体に良さそうな気がしますが、全ての商品が安全なのであれば、価格の差は一体なんなのでしょう。この価格の差は、原材料の質やメーカーのこだわりなどが影響しているのです。
例えば、ペットフードの研究施設を独自に持っているメーカーの場合、自社製品を開発するにあたってコストは高くなるでしょう。また、天然素材だけで作ったオーガニックフードのように、原材料に高級食材を使っているものも販売額は高くなります。他にも「便秘に効果があるペットフード」のように、医学的に効果が証明されているものには特殊な成分が含まれているので、価格はあがるでしょう。
日本で取り扱っているペットフードは基本的に安全なものばかり。あとは愛犬の状態や好み、フードの目的に応じてその子にあった商品を適正量与えていれば、元気に過ごせるはずです。価格や味などバラエティに富んだペットフードが数多くあるので、ぜひ愛犬のお気に入りの一品を探してみてくださいね!
アイペット獣医師
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