わが家の犬の毛が突然ぬけはじめたら…。元気も食欲もあるのに背中や腰の毛がだんだんと薄くなり、気づいたらこのようになってしまう、そんな病気である「アロペシアX(脱毛症X)」という病気について確認をしたいと思います。

アロペシアX(脱毛症X)とは

「アロペシアX」すなわち「脱毛症X」という病気はいまだ詳細の解明されていない病気です。 この「脱毛症X」は何種類かの北方(ノルディック)犬種とプードルに発生する脱毛症候群に対してつけられた名前です。発生機序がほとんど不明ということからこのような名前になりました。そのため、この病気は約20種程度の別名があります。

  • 偽クッシング症候群
  • 成犬の成長ホルモン欠損症
  • 成犬の低ソマトソロピン症
  • 成長ホルモン応答性皮膚炎
  • 去勢応答性皮膚炎
  • 性ホルモン性皮膚症
  • 生検応答性脱毛症
  • 副腎性ホルモン欠損症
  • 先天性副腎過形成
  • ノルディック犬種毛包形成不全
  • シベリアン・ハスキーおよびマラミュートの毛包形成不全
  • ポメラニアン脱毛
  • マラミュートの貧弱被毛
  • ウーリー症候群
  • 毛刈り後脱毛
  • ノルディック犬種脱毛症X

などです。通常は弱齢(1-3歳)で発症しますが、もっと弱齢でも、もっと高齢でも発症の報告はあるようです。性別は男の子の方が多いといわれています。

原因と症状

その名の通り、原因はほとんど明らかにされていません。性ホルモンや成長ホルモンそして副腎ホルモンなどのバランスが崩れることが原因だと考えられていますが、やはり詳しいことはわかっていません。「全身症状のない体幹部の脱毛」というのがこの病気の症状だと言えます。症状の程度はその子により様々ですが、共通して言えることは

  • 左右対称性の被毛病変と脱毛
  • 色素沈着(皮膚にメラニン色素が沈着し黒ずんでくることです)
  • 頭部と四肢は毛が残る
  • 普通の治療ではあまり反応しない

このような症状が見られます。そしてもう1つ、この病気の特徴としてあげられるのは
痒みがないということです。

診断

確定診断は非常に困難です。除外診断といって、検査により脱毛をおこす他の病気を否定していった結果、この病気が残り診断することができます。そのためには寄生虫やカビ(真菌)の検査、そしていくつかの種類のホルモンの検査、そして皮膚生検といって皮膚の1部を病理組織学的に専門医に診てもらう必要があります。それらをすべて実施しても絶対にこれが原因と言えない場合がります。これは獣医師も頭を抱える病気ですよね。

治療と予防

さらに問題なのは、治療がきちんと確立されていないということです。不妊処置(避妊手術や去勢手術)や、いくつかの推奨された薬やサプリメントがあるものの、それに対する反応は様々です。診断も治療も困難なうえ、実は再発率も高いのです。

いくつかの皮膚の2次診療施設では確立された治療法もあるようですが、一般的な1次診療施設では順番に治療を試してみるというのが現実ではないかと思います。そして、治療の結果も本当に様々です。きちんと治って毛がちゃんとっ生えそろう子もいれば、何をやっても改善が見られない場合もあります。一筋縄ではいかないということです。

アイペット獣医師

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