犬には、犬種によって「かかりやすい病気」があり、そのうちの多くは遺伝性疾患であるといわれています。

遺伝性疾患とは、変異した遺伝子によって引き起こされる病気のことで、その遺伝子が親犬から子犬へと引き継がれることにより、病気も遺伝していきます。

 

純血種の犬は、同じ犬種同士を限られた地域の中で交配されることが少なくないため、変異した遺伝子を引き継ぎやすくなってしまうことから、遺伝性疾患を発症する確率が高まります。

犬種によってかかりやすい病気が異なり、生まれつき症状があるものから、成長に伴って症状が現れるものもあります。

 

ここでは、犬の代表的な遺伝性疾患について解説します。

 

コリー眼異常(コリーアイ)とは?

コリー眼異常とは、その名の通りコリー犬種に多い遺伝性の眼の病気で、コリーアイとも呼ばれます。

眼球の内側を覆っている網膜や脈絡膜、強膜に異常が起こることで、視覚障害や失明を引き起こします。

 

好発犬種

コリー

シェットランド・シープ・ドッグ

ボーダー・コリー

オーストラリアン・シェパード

北海道犬

 

シェットランドシープドッグ

 

 

◆何歳から発症するの?

コリー眼異常は、受精卵から体のさまざまな組織や器官が作られていく過程である「発生」という段階で起こる異常です。

そのため、重度の異常は生まれてから比較的早い段階(生後4週〜8週齢)から進行することが多いです。中には、1歳を過ぎてから発症するケースもありますが、この場合はあまり進行しないとされています。

 

◆どんな症状がみられるの?

コリー眼異常は、眼の構造に異常をきたしますが、軽度であれば症状はほとんど現れません。

発生の段階で眼の組織に部分的な欠損がみられる「コロボーマ」や、網膜剥離、眼球内で出血を起こしているような重度の場合には、視覚障害や視覚消失(失明)を起こすことがあります。

通常、左右両方の目で異常がみられますが、異常の程度は左右バラバラになることもあります。

 

視覚に異常が現れると、物にぶつかりやすくなる、つまずく、不安がってあまり動かなくなる、散歩に行きたがらない、などの症状みられます。

 

◆どうやって診断するの?

コリー眼異常は、重度だと生後まもない段階で症状がみられることから、生後5〜8週での眼科専門医による眼底検査が推奨されています。眼底検査のほか、眼の超音波検査や、遺伝子の変異を検出する遺伝子検査(血液検査)を行う場合もあります。

 

◆治療法は?

残念ながら、治療法は確立されていません。

発症した場合、日常生活に支障がなければ無治療で経過観察をし、網膜剥離や眼球内での出血などが見られる場合には、症状に合わせた対象療法が行われることが一般的です。

 

◆予防法は?

コリー眼異常は遺伝性の病気であることから、この病気を発症した犬や変異した遺伝子を持っている犬は、繁殖させないようにすることが重要です。

 

◆愛犬がこの病気と診断されたら

視覚を消失しても日常生活を送れるようにサポートしてあげましょう。

 

具体例

 鈴など音の出る物を使って、日常生活を送りやすくする(リードやお散歩バッグに鈴を付けるなど)

 おもちゃは音の出るタイプにする

 お散歩コースを変更しない

 室内の模様替えはしない

 家具の角には保護クッションなどを付ける

 犬の動線状に物を置かない

 ごはんや水の場所を変更しない

 階段などの危ない場所には、ゲートを付ける

 急に触ろうとすると驚かせたり恐がらせるおそれがあるため、声をかけてから接する

 

 

コリー眼異常は、治療法のない病気ですが、異常があっても治療が必要になるケースも少ない病気です。1歳未満の若齢期に進行しやすいため、コリー系の好発犬種を迎えたら子犬の段階で動物病院で眼科検査を受けましょう。その後は定期検診を受けることで、二次的に起こる眼の異常(網膜剥離、眼内出血、緑内障、ぶどう膜炎など)に対する早期診断・早期治療につながります。

 

 


 

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フクナガ動物病院 獣医師

福永 めぐみ

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