長い胴に短い足。そんなユニークな体形とキリッとした端正な顔立ちで多くの人に愛されているダックスフンドは、その人気の高さから様々な品種が生み出されました。もともと猟犬であったにも関わらず、落ち着きのある性格も、人々から愛される理由の一つかもしれません。

ここではそんなダックスフンドの種類や性格、一緒に暮らすときの注意点などを解説します。

ダックスフンドの歴史

もともと中世のドイツでは、畑を荒らすキツネやアナグマのような小動物を捕まえるために、多くの領主や農民が猟犬を飼っていました。

地面に巣穴を作って暮らす小動物を狩るために、巣穴に潜り込める足の短い体型と、猟犬としての大胆な性格を持ち合わせていた犬を、特に好んで飼っていたようです。

その猟犬こそが、胴長短足のフォルムを持つダックスフンド。ドイツ語でアナグマ犬(「ダックス=アナグマ」「フンド=犬」)という意味を持っています。

なお、ダックスフンドの繁殖に熱心だった最古のクラブは、今からおよそ100年に創立されたと言われています。

ダックスフンドの体格

体つき

短足胴長であるダックスフンドですが、実は胴の長さは他の犬と変わりません。足が短いために胴長に見えるのです。また、ずん胴なイメージがあるかもしれませんが、くびれのある状態が理想的な体形です。くびれがないのは肥満のサインなので、気をつけてくださいね。

ちなみにブリーディングを重ねた国によってタイプが分けられているのですが、ドイツタイプは細身、日本に多いイギリスタイプはずんぐりしていると言われています。タイプによって多少の差はありますが、どちらも猟犬なので体つきは筋肉質。運動能力に長けており、短い足からは考えられないほど走りも軽快です。

体のサイズ

アナグマを狩るために作られたダックスフンドを、キツネ狩りのために小型化したのがミニチュア・ダックスフンドです。そしてウサギ狩りのためにさらに小型化されたのが、カニーンヘン・ダックスフンド。獲物が逃げ込む巣穴の中もしゃがまずに走れるよう、獲物の作る巣穴の大きさに合わせて、徐々に小型化されていきました。この中で最も飼育頭数が多く、最も人気を集めているのがミニチュア・ダックスフンドです。

胸囲が35cmを超えるのがスタンダード・ダックスフンド、生後15ヶ月を経過した時点で胸囲が30~35cmなのがミニチュア・ダックスフンド、生後15ヶ月を経過した時点で胸囲が30cm以下なのがカニーンヘン・ダックスフンドとなります。

体重

一般的には、ミニチュア・ダックスフンドは約5kgとされていますが、そもそも体重は大きな個体差があります。ペットショップなどで提示される想定体重はあくまで想定ですし、本やサイトなどに書かれている平均体重もあくまで平均です。

子犬を迎えた時にペットショップの店員さんやブリーダーさんから「この子はミニチュア・ダックスフンドなので、大人になったら5kgくらいになると思いますよ。」と言われた飼い主さんが、本来7kgになるはずだった子犬にもかかわらず、5kgを超えないように食事量を制限した結果、成長するために必要な栄養を十分取れていなかった、なんてこともあります。

その子の理想体重は獣医さんに見てもらうのが一番正確なので、ワクチン接種や健康診断の際に、一緒に適性体重も教えてもらうといいでしょう。

毛質は全部で3種類

もともとダックスフンドの毛は、スムースヘアーという短い毛質でした。美しい被毛を持つ犬種とかけあわせて優雅な長い毛を持つロングヘアーが生まれ、そしてテリア系の犬種とかけあわせて堅い毛のワイヤーヘアーが生まれました。ロングヘアーとワイヤーヘアーの種類は、寒さに備えるための下毛と表面にある長い毛の2層からなるダブルコートという被毛の持ち主です。抜け毛の時期になると大量に毛が抜けるので、こまめなお手入れが必要となります。

毛色もさまざま

ダックスフンドは毛色の種類が豊富なことも特徴です。色々な種類がありますが、代表的なものをあげてみましょう。

単色(ソリッドカラー)

体全体が一つの色で統一されています。色はレッドとイエローがありますが、鮮明な色がいいとされています。中には、濃い毛色がかぶった「シェーデッド」と呼ばれる毛色もありますが、一般的には成長とともに色が薄くなったり、濃い色の毛が少なくなっていきます。

2色

ブラック&タン(褐色)、チョコレート&タンのように[色]&[色]と呼ばれます。ちなみに、ブラック&タンは「ブラタン」、チョコレート&タンは「チョコタン」という可愛い呼び方で略されることもあります。

ダップル

毛の模様の種類の一つで、ブチのこと。

ブリンドル

毛の模様の種類の一つで、縞柄のこと。

ワイルドボア

言葉の意味は「野生のイノシシ」。ワイヤーヘアーだけに見られる独特な毛色で、名前の通り野生のイノシシのように見えます。

ダックスフンドの性格

猟犬として活躍してきたダックスフンドは、賢くて自我がしっかりしている子が多いと言われています。落ち着いた性格で攻撃性は低いとされていますが、猟犬としての本能が刺激されると、勇敢で大胆な一面を見せることもあります。

また、毛質によっても微妙な違いが。もちろん個体差はありますが、目安として知っておくといいパートナーを見つけられるかもしれません。

スムースヘアーの性格

ダックスフンド本来の性格がよく出ている子が多い印象です。自我がしっかりしていて、比較的独立心が強いので、愛犬とほどよい距離感を保ちたい人にオススメです。

ロングヘアーの性格

スパニエル系の犬種が混じっているので、スムースヘアーと比較すると、甘えん坊でフレンドリーな子が多いと言われています。愛犬とのお出かけなど、多くの時間を一緒に過ごしたい方に向いています。

ワイヤーヘアーの性格

テリア気質のパワーや性格を持ちあわせているので、活発に動くことが大好き。一緒に体を動かしたい方やアクティブな方にとって、いいパートナーになってくれるでしょう。

知っておきたい飼育上の注意点

ダックスフンドのお散歩

日本で一般的に飼育されているミニチュア・ダックスフンドは、そんなにたくさんの運動量を必要とするわけではありません。とはいえ、もとが猟犬なので、外で遊んだりお散歩に出かけるのは大好き。個体差はありますが、1日1~2回、30分程度のお散歩に連れ出してあげるといいでしょう。またドッグランやロングリードでの自由運動も、犬の満足度を高めることができるので、定期的に取り入れてあげてください。

体の大きさや性格によって、必要なお散歩量というのは変わります。上記の頻度は目安にして、その子にぴったりのお散歩量を見極めてあげてくださいね。上手なお散歩デビューの仕方については、『犬のお散歩、飼い主が心得ておくべきこととは』の記事も参考にしてみて下さい。

ダックスフンドに必要なお手入れ

トリミング

ワイヤーヘアーは、定期的なトリミングが必要となりますが、ロングヘアーとスムースヘアーは自宅のお手入れで十分です。毛と毛の間に入ったほこりを取り除いて衛生を保ったり、マッサージ効果のあるブラッシングを定期的にしてあげてください。

また、足裏の毛はこまめにカットしてあげる必要があります。足裏の毛が伸びると肉球が隠れてしまい、フローリングなどで滑りやすくなります。そうすると関節に負担がかかってしまうので、バリカンでカットしてあげましょう。

バリカンを使った足裏ケアの方法は『もうフローリングで滑らない!愛犬の足裏ケア』からご確認下さい。

爪切り・歯磨き・肛門腺絞りなど

カット以外にも、シャンプー・爪切り・肛門腺絞り・歯磨き・耳掃除などのお手入れが必要です。毎日飼い主さんがお手入れをしてあげることでコミュニケーションを取ることができるので、できればおうちでお手入れしてあげてください。

とはいえ、自宅でのお手入れはコツと練習が必要なので、もし自分でやることに不安がある場合は、トリミングサロンや動物病院に連れていってあげるといいでしょう。

子犬のうちからスキンシップに慣れさせて

大人になると独立心が強くなるダックスフンドも、子犬のうちは甘えん坊で撫でられるのが大好き。触られることに抵抗がないうちに、口先や手足、マズルなどの敏感な部分のタッチに慣れさせていきましょう。歯磨きや爪切り、病院での診察などがスムーズになるでしょう。

ダックスフンドがかかりやすい病気は?

 

椎間板ヘルニア

ダックスフンドがかかりやすい病気の代表例が、椎間板ヘルニアです。椎間板ヘルニアとは、背骨と背骨の間にある「椎間板」という部分が飛び出し、神経を圧迫する病気で、痛みや麻痺などの症状が出ます。きちんと治療を受けさせてあげないと二度と元気に歩けなくなることもあるので、病気のことを正しく理解し、しっかりした対策を取ってあげましょう。椎間板ヘルニアのメカニズムや治療法、予防法をまとめている、『愛犬のために知っておきたい椎間板ヘルニア』の記事もあわせて読んでみてくださいね。

暮らしの中で気をつけること

食事管理をしっかりと

猟犬であるダックスフンドは非常に食欲が旺盛です。食べることが大好きだからと、愛犬が望むままに食事を与えていては太り過ぎの原因になってしまいます。食事の量は必ず適正量を守りましょう。

ちなみにフードに記載されている適正量はあくまで目安です。その子に応じた適正量をきちんと把握して与えるようにしてください。わからない場合はかかりつけの獣医さんに相談するといいでしょう。

 肥満は厳禁

肥満になると腰への負担が大きくなるだけでなく、さまざまな病気を引き起こす可能性が高くなるので、適性体重を維持してあげてください。ペットショップなどで教えてもらう想定体重はあくまで目安。実際の適性体重は異なることが多いので、その子の適性体重が何キロなのかは、必ず獣医さんに確認するようにしましょう。

トレーニング

ぴょんぴょん飛び跳ねさせたり、階段を上り下りさせたり、段差から飛び降りさせたりすると、腰に大きな負担がかかります。このような動作をさせないために、「おすわり」「まて」などのようなトレーニングがとても大切。愛犬が興奮して飛び跳ねていても、「おすわり」「まて」で落ち着かせることができるからです。

お部屋作り

お部屋を工夫することで、犬にかかる負担を減らすこともできます。部屋の中から段差をなくしたり、滑りやすいフローリングをカーペットなどで覆ったりするとよいでしょう。『子犬のためのお部屋作り』に詳細を載せているので、ぜひ合わせて読んでみて下さい。

 

 

優秀な猟犬であるダックスフンドは、運動することが大好き。腰への負担を気にしすぎて過度に運動を制限させるより、きちんと運動をして適正な筋肉をつけるようにしましょう。ここでご紹介したポイントを上手に踏まえた上で、ダックスフンドとの素敵な生活を楽しんでくださいね!

※こちらの記事は、「ジャパンケネルクラブ」が定めている内容を基準に執筆しております。

BEAT KENNEL

遠藤マッケーブ敦子

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