お風呂でシャンプーを待つ犬
お風呂に入れようとすると暴れる、噛もうとする。そんな愛犬に手を焼いていませんか?

今回は、お風呂嫌いの犬にお風呂好きになってもらうしつけ方と、犬のストレスが少ないシャンプー方法をご紹介しましょう。

そもそも、多くの犬はお風呂が嫌いです…!

雨の日でも雪の日でもお散歩に行きたがり、水辺ではバチャバチャと水遊びをするのに、シャンプーだけは嫌い、という犬は案外多いようです。いったいなぜ? まず、シャンプー嫌いの理由を考えてみましょう。

愛犬がシャンプー嫌い、お風呂嫌いになってしまった原因のひとつに、過去に嫌な思いをさせてしまった、ということがあるかもしれません。まだお風呂慣れしていない子犬の頃に怖い思いや不快な思いをさせてしまったため、お風呂はイヤなもの、との刷り込みが行われてしまったのです。

初めてお風呂に入る犬にとって、シャワーの水音やシャンプーの香り、熱いお湯、狭いお風呂場、うるさいドライヤーなどは未知の世界、恐怖の対象です。そんな中で全身をがしがし洗われ、顔に水をジャバジャバかけられたら、大きなストレスになりますよね。

さらに、飼い主が焦ったり緊張したりしていると、その気持ちは犬にも伝わります。だから嫌がって暴れる、それを何とかしようと必死に捕まえる、もっと暴れる、の悪循環です。うまく洗えないからと叱ったりするのも良くありません。お風呂に入ると叱られる、と学習してしまいます。

もうひとつ、考えられる原因は、犬と飼い主の信頼関係が足りないことです。飼い主がすることは自分にとって悪いことではない、飼い主と一緒だといつも楽しい、と信頼してもらえていれば、イヤなことが少々起きてもガマンしてくれるのが犬。子犬の頃からのスキンシップが少なかったことも、お風呂嫌い犬になってしまう原因です。

思い当たるところがありましたか? いまからでも遅くないですから、直せるところは直していきましょう。

初めは洗面器に溜めたお湯で、足だけを洗いましょう

では、犬にとってストレスが少ないシャンプーのコツを考えていきましょう。まず、お風呂嫌いがひどく、自宅でのシャンプーが困難な犬は、夏場に水辺で遊ばせるなどして、身体が水に濡れることに慣らしましょう。

また、トリミングサロンでのシャンプーを経験したことがないなら、シャンプー風景を見学させてくれるサロンにお願いしてみましょう。プロがいかに上手にシャンプーをするのか、自宅でのシャンプーとの違いがなんとなくわかるはずです。

水は平気だけれどお風呂のときだけ暴れるならば、まずお風呂場で遊ばせるなどして、お風呂場=イヤな場所、という学習を消していきます。お風呂場で遊ぶときだけおやつをあげるのも効果的な方法です。

シャワーノズルが怖い犬もいますから、最初はお湯を出さない状態のシャワーノズルを床に置いて慣らしましょう。犬が怖がらなくなったら、ちょろちょろとお湯が出ている状態にも慣らしていきます。またお風呂場の床は、犬にとってたいへん滑り易いもの。柔らかいマットを敷くなどして、犬の不安を消してあげましょう。

お風呂場に入っても暴れなくなったら、いきなりシャワーで全身を洗おうとせず、洗面器などにお湯を張ってタオルで足を拭くところから始めます。洗面器の場合もシャワーの場合も、お湯の温度は人肌が目安。人間が入るお風呂の温度では熱すぎます。

お風呂の前には入念なグルーミングを忘れずに

シャワーを使ってシャンプーをする前には、入念にグルーミングをして無駄な被毛を取り除きます。長毛種やダブルコート(上毛と下毛の二層構造)の犬種ではとくに大切です。洗えば落ちるだろうと手を抜いていると、濡れた毛が層のように固まって取れなくなりますし、湿ったままの毛が身体を覆ってしまうと皮膚病を招きかねません。

また、毛が濡れて固まった状態でブラッシングをすると、抜かなくてもいい毛まで抜けてしまうので、犬は痛がります。シャンプーもそうですが、急いでもあまり良いことはありません。”ゆっくりていねいに優しく”が鉄則です。

シャンプーする前には、身体全体を十分に濡らします。いきなり顔にシャワーを当てず、足、お尻と尻尾、胴、首の順で、顔から遠い側から濡らしていきます。

シャンプーは、ボトルから直接身体にかけるのではなく、2倍〜指定の希釈率に薄めたものを容器に移して使います。原液をそのまま使うと洗い残しやすすぎ残しが起きやすいうえに、すすぎ残すと肌のトラブルにつながります。シャンプーのニオイが嫌いな場合は、無香料のシャンプーを使いましょう。

シャワー後のすすぎ、拭き取りもていねいに優しく

しっかり泡立てて優しくていねいに洗った後は、シャワーでしっかりすすぎます。この際に、シャワーヘッドを犬の身体に密着させてお湯を出すと、ザーッというシャワー音がしませんし、お湯が飛び散らないので犬を驚かせずにすみます。頭や顔をすすぐときは、耳や鼻に水が入るのを防ぐためにも役立ちます。飼い主が犬に寄り添って、優しく身体をホールドし、一緒にずぶ濡れになりながら洗うのがコツです。

すすいだ後、犬は本能的に身体をブルブルと回転させて水を吹き飛ばしますから、タオル拭きはある程度ブルブルしてから。ゴシゴシこすらずに、軽くマッサージをしながら水気を吸い取っていくイメージです。

タオル拭きが終ったら、ドライヤーの温度設定を低めの温風にして、コームなどで毛をかき分けながら、毛の根元のほうからじっくり乾かしていきます。表面から風をいくら吹き付けても奥の方はなかなか乾きません。皮膚近くの毛が湿ったままだと皮膚のトラブルの原因になります。温度設定が難しい場合は、温かくない「送風」でかまいません。

ドライヤーを嫌がる犬には、チューイングトイ(ガジガジと噛めるおもちゃ)など長く集中できるおもちゃやおやつを与えると、犬はドライヤー=いいことがある、と考えてくれるようになります。

アイペット獣医師

ワンペディアの運営会社であるアイペットに在籍している獣医師チーム。臨床経験...

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