クッシング症候群

Sick Dog
犬はよく食べ、よく遊び、そして寝ることが大好きです。 そのため、少し太ってきて寝る時間が増えてきても、「高齢になってきたからかな?」と勘違いされることが多いのです。明らかに痩せてしまう=病気かもしれない」と疑いやすいのですが、少し体が丸くなってきた事が病気の症状だとは思わないですよね。 勘違いをしやすい病気「クッシング症候群」について確認をしたいと思います。

クッシング症候群とは

クッシング症候群、またの名を「副腎皮質機能亢進症(ふくじんひしつきのうこうしんしょう)」といいます。副腎の皮質部分(一番外側の部分)の働きが大変盛んになってしまうのです。これは名前の通り、副腎という臓器の病気で、ホルモンが沢山出ることで体に悪さをするのです。それでは、副腎という臓器は何をしているのでしょうか?

副腎について

副腎というのは左右腎臓のすぐ近くに存在する1対の臓器です。体にとって大切なホルモンを出しています。とても小さいですが、すごく大事な臓器です。副腎皮質部分の機能が亢進するということは、皮質部分が出しているホルモンが大量に出され続けてしまうことになります。

副腎皮質から出されているホルモンは2つあります。

  1. 糖質コルチコイド(コルチゾール)
  2. 鉱質コルチコイド(アルドステロン)

これらのうち、コルチゾールの過剰により引き起こされる病気をクッシング症候群と呼びます。このホルモン(コルチゾール)がしていることは、

  • タンパク質や脂質の代謝を促しエネルギーを作る
  • 肝臓で糖を作るのを促す
  • ホルモンを作るための材料
  • 炎症を抑える

などと色々なことをしています。さらに、ストレスホルモンと言われ、ストレスが過剰になると放出されるのです。

原因と症状

わんちゃんのクッシング症候群の原因の80%を占めるのは脳(その中でも脳下垂体)にできる小さな腫瘍だと言われています。副腎のホルモンが出されるには、脳と副腎という2か所の臓器が関わります。脳の一部(脳下垂体)は副腎に対して「ホルモンを出してください」という指令をだします。その指令を受けて副腎からはコルチゾールを放出します。クッシング症候群の原因は、

  1. 脳が壊れて指令を出し続けてしまう場合
  2. 副腎が壊れて指令を無視してホルモンを出し続けてしまう場合です

また、クッシング症候群にはいくつかの典型的な症状があります。

  • 多飲多尿(やたらとお水をのみ、やたらとおしっこをします)
  • 腹部下垂(ポットベリーといいます)
  • 無気力
  • 左右対称の脱毛(主に体幹)
  • 皮膚の石灰化
  • 筋肉がうすくなる

このような症状があります。一見すると老齢性の変化のようですが、これらの症状はかなり典型的なクッシング症候群の症状といえます。これらの症状はすべてコルチゾールというホルモンが過剰に出ることで皮膚や肝臓での代謝(異化(いか)といいます)が異常になることで起きる症状です。

出典:Diagnosis of hyperadrenocorticism in dogs,Nicola M A Parry BSc MSc BVSc DipACVP,Article first published online: 12 MAR 2012

診断

クッシング症候群の診断は血液検査にてホルモンの量を測定することで行います。臨床症状と一般的な血液検査である程度疑いをもったら、先ほどご説明したホルモン(コルチゾール)の量を調べることで確定します。しかし、コルチゾールはストレスにより放出されてしまうため、正しい結果を得るためにはストレスのない状態で検査を行う必要があります。

治療

一般的に、クッシング症候群は緊急な治療が必要となるケースはほとんどありません。そのため、何か問題となる症状の改善というのが治療のゴールとなります。放っておくと、症状がどんどん悪化をして命にかかわる場合があります。原因が脳なのか副腎なのかを突き止めたら、それぞれを外科的に切除するのか、ホルモンを抑える薬を使用するのかを相談し決めていきます。一般的には内科的にお薬を使用することでホルモンを抑える方法をとることが多いです。お薬は一度飲み始めると基本的にはやめることができないため、生涯ずっとお薬をのまなくてはなりません。

治療・診療費はいくらぐらい?

脳下垂体の腫瘍によるクッシング症候群であることが診断され、内科的治療を行った場合の診療費例。コルチゾールの生成を阻害する内用薬の服用が継続的に必要となるため、定期的に通院し、血液検査などを受けます。
診療項目(内容) 単価(円) 数量 金額(円)
再診料 500 1 500
血液検査 (ACTH負荷試験) 8,000 1 8,000
エコー検査 3,500 1 3,500
内用薬 (1か月分) 400 30 12,000
合計 24,000円
この診療明細書はアイペット損保の支払いデータから作成した診療費の参考例となります。したがって、診療費用・内容の平均・水準を示すものではありません。

★通院・入院・手術と幅広く補償する、おすすめのペット保険

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitterでワンペディアをフォローしよう!

アイペット損保 メディカル・ソリューション室
アイペット損保 メディカル・ソリューション室
臨床経験が豊富な獣医師によって構成されたチームです。
獣医療の知識や経験、ネットワーク、マインドを活用し、
「ペットとの共生環境の向上とペット産業の健全な発展を促し、潤いのある豊かな社会を創る」
という理念のもと、ペット産業全体の課題解決に資するサービスの開発を目指しています。